Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

Cuarentena

スペインの赤ちゃん服はとにかくピンクが多いです。靴下はpatucoと呼ばれる四角い形をしたもの。

スペインの赤ちゃん服はとにかくピンクが多いです。靴下はpatucoと呼ばれる四角い形をしたもの。

娘が生まれて1ヶ月半。ようやく体が元通りになってきたようで、子育てと日常生活の両方をこなせるようになってきました。この機会に、日本で言う「床上げ」はスペインではどのようなものなのか、ちょっとご紹介します。

私の場合、お産自体は特に問題もなく、子供も元気に成長していますが、やはりお産というのは一大仕事だったようです。病院には沢山の友人や家族がお祝いに来てくれ、皆と楽しく会話をして過ごしましたが、その時に「もう回復してきた」と思ったのは錯覚だったと後で気づきました。

出産2日後に退院した際は、病院の出口に着いただけで疲れてしまい、友達に側についてもらいました。さらに、出産1週間後に外出した際は、まだまだ2時間程度しかもたず・・・夫と一緒に娘を連れての外出だったのですが、娘は大泣き、私は疲労困憊でした。(ですが、友人の中には2−3週間外出できなかった人もいるので、やはり私は元気な方だったようです。)少しずつ体が回復してきて、今では娘と毎日外出し、時にはバスやメトロも使うようになりました。産後は体力が回復するまで無理をしてはいけない、というのは本当ですね。

さて、日本ではこの産褥期の終わりを「床上げ」と言います。。伝統的には、産後は布団を敷きっぱなしにして、できるだけ横になって体を休め、産婦が順調に回復してから、その布団を片づけて通常の生活に戻ることを意味します。日本では、この「床上げ」の目安は産後3週間だそうです。

夫と娘との外出。抱っこひも(?)を使うとすやすやと寝てくれます。

夫と娘との外出。抱っこひも(?)を使うとすやすやと寝てくれます。

スペインでは、この床上げまでの期間を”cuarentena (英語のquarantine)”と呼びます。語源は「40 (cuarenta)」、つまり40日のこと。昔ペストやハンセン病等の疫病が流行った頃に、人を隔離する期間が40日だったことから来ています。この言葉が産褥期にも適用され、40日間は体に負担をかけないようにと言われます。日本の床上げよりかなり長めですが、日本は「ずっと床にいる期間」なので、ちょっと定義が違うのでしょう。

伝統的には、スペインではこのcuarentenaの間は産婦はほとんど家の外に出ないで過ごし、cuarentenaが終わる時に教会で子供の洗礼を執り行ったそうです。体力が回復した所で、母親も子供も美しく着飾り、村の皆にお披露目と言った意味もあった訳ですね。確かに、生まれた直後の赤ちゃんってそんなに可愛くないですし・・・理に叶った伝統だったのかも知れません。

スペイン王家のソフィア王女の洗礼の様子。これはまさにお披露目。

スペイン王家のソフィア王女の洗礼の様子。これはまさにお披露目。

娘が生まれた後のcuarentenaの期間は、夫の母が我が家に来て色々と助けてくれました。義母は、「決定は二人に任せるので、必要なければ必要ないと言ってもらって構わないのよ。」と言ってくれましたが、最終的には私がお願いをすることに。実は、「1ヶ月手伝いに来て」と言うのは気がひけたのですが、夫の両親に、「私たちが何かをする時は、本当にそうしたいからなんだよ。必要なことがあれば安心して頼んでほしい。」と言われ、好意に甘えてしまいました。

義母がいる間に娘のパスポートも作成しました。右は市の登録所で登録される家族情報の本。

義母がいる間に娘のパスポートも作成しました。右は市の登録所で登録される家族情報の本。

子供の情報は6人まで載せられるようになっています。十分、かな・・・。

子供の情報は6人まで載せられるようになっています。十分、かな・・・。

娘の誕生が2週間以上早まった為、彼女は休暇先のマラガから直接マドリッドに到着し、そのまま1ヶ月以上私たちと過ごしてくれました。私たちに必要なものの買出し、食事の準備、掃除等の他、友人が訪問すると言えばコーヒーやお茶菓子を準備してくれ、娘の検診と言えば一緒について来てくれ、本当に色々な面で助かりました。何よりも、毎食後に彼女と沢山会話をしたのがとても良い思い出になりました。彼女がいなかったら、こんなに快適な産後を送れなかったと思います。

料理 → 義母が美味しいスペイン料理を沢山作ってくれました。
洗濯 → 義母が全てしてくれ、娘の服は手洗い。
掃除 → ほとんど義母の担当。スペイン式のお掃除を少し教わりました。
買い物 → 天気がよければ、義母と娘と一緒に外出。時間がかかる場合は義母が一人で外出。

彼女のお陰で、私はかなり育児に専念することができ、夫も家で少しゆっくりできたようです。また、彼女を通じてヨーロッパでの子供服やベビーカー事情についても知ることができ、色々参考になりました。

ベビーが6ヶ月になる位までは、このようなバスケット型のものをつけるのがこちらでは一般的です。ベビーカーにつけるバッグも、ベビーカーとの色合わせを考えます。ちなみにこのバッグはフランスのメーカーのものです。

ベビーカーにつけるバッグも、ベビーカーとの色合わせを考えます。ちなみにこのバッグはフランスのメーカーのものです。

中のクッションにはシーツをかけ、毛布が直接肌に触れないように別のシーツをかけます。こういうセットもヨーロッパならではでしょうか。

中のクッションにはシーツをかけ、毛布が直接肌に触れないように別のシーツをかけます。こういうセットもヨーロッパならではでしょうか。

cuarentenaが終わり、新たに娘と二人での生活が始まりました。母乳だけですくすくと育っていく娘を見ていると、子供を持つことの有り難さをしみじみと感じます。書類手続きや買い物、料理や新居の準備等で毎日があっという間に過ぎ去っていきますが、仕事が始まるまでの短い期間、娘との時間を大切にしたいと思います。

Tagged as: ,

1 Comment

Trackbacks

  1. 娘の洗礼式 | Haruki's way

Leave a Response