メダイ
息子の洗礼式の時に、義両親よりメダイのプレゼントがあったことを書きました。スペインでは、子供が誕生した時や洗礼を受けた時に両親、家族、代父や代母がメダイをプレゼントすることが一般的です。宗教的な意味や貴金属の価値以外に、自分と深いつながりのある人からの「愛情の印」「お守り」と言った意味もあるため、通常アクセサリーを身につけない男性でも、以外と身につけている人は多いです。
伝統的には、スペインではメダイや結婚指輪は金でした。最近では銀のメダイも沢山見かけますが、金の方が価値が高いということで、「一生もののメダイは金の方が良い」と考える人が多いようです。私たちは銀色のシンプルなメダイの方が好きだったので、敢えて代父/代母に銀のメダイをお願いしましたが、この辺は本当に好みの問題でしょう。
このキリスト教に関わる「メダイ」は、フランス語の”Médaille”という言葉から来ています。このMédailleとは、本来「メダル」という意味ですが、聖母マリアの出現を目撃し、そのお告げ通りのメダルを制作した修道女カトリーヌ・ラブレがフランス人であったため、「不思議のメダイ(Médaille miraculeuse)」というフランス語から来た「メダイ」が一般的な呼称となりました。
この「不思議のメダイ」あるいは「奇跡のメダイ」のデザインは非常によく知られています。私は高校時代にミッションスクールに通っていましたが、制服の一部のようにメダイを着けるのが当時の「ファッション」でした。(ファッションというのは気が引けますが、宗教的理由というよりは、お洒落という感じで皆つけていたので。。。高校生ですから、そこは仕方ありませんね。)
その時に着けるものは、必ずシンプルな十字架か「不思議のメダイ」です。不思議のメダイにも色々な色があり、楕円形の聖母の絵を囲む形で色々な種類の枠があり、なかなか素敵なものも多いです。
さて、スペインではどうかというと、「先祖代々のメダイ」から「祖父母のメダイ」まで、皆なんらかのメダイを持ってはいるようです。メダイを買うルートはいくつかあります。
1. 宗教用品のお店
宗教用品のお店では、メダイはもとより、何十種類ものロザリオや宗教グッズが沢山販売されています。司教が持つ杖や聖体拝領の杯等も見ることができ、ちょっとした博物館のような感じが漂うお店もあります。
2. 教会や修道院
一部の教会や修道院では、宗教グッズ販売コーナーが併設されており、色々なメダイも販売されています。その教会や修道院に縁のある聖人の製品を買ったり、特別なその場所ならではの製品を買うなら、こういう場所に行くのも良いでしょう。ただ、販売コーナーという性質上、貴金属のメダイはそこまで多くなく、真鍮や銀メッキが一般的なようです。また、こういった販売コーナーが開いている時間は短いため、事前チェックが必要です。
3. 貴金属店
スペインには金や銀のメダイをプレゼントする習慣があるだけあって、貴金属店ではかなりメダイの取扱いがあります。種類はそこまで豊富ではないかもしれませんが、以外と素敵なものが見つかることもあります。
4. 子供洋品店
洗礼式や初聖体等の行事にふさわしい衣装を取扱っているような子供服のお店では、時々メダイも販売されています。お店によって取扱量は様々ですが、あるところには本当に沢山あります。
私たちが子供達のメダイを購入したのは、3の「貴金属店」と4の「子供洋品店」の中間のお店で、以前は貴金属のお店だったものが、子供用品も売るようになったという所です。他の貴金属店では気に入ったデザインが見つからなかったこともありますが、偶然見つけた素敵な子供服のお店のカウンターで、何と大量のメダイを発見。以前は貴金属店だったというだけあって、色々なメダイを制作する業者やチェーンを作る業者とのネットワークもあり、素敵なデザインのものが沢山ありました。お店のショーウインドーにあった服に惹かれて入ったのですが、思いがけない収穫でした。
子供達の洗礼式のお祝いはシンプルな銀の十字架ですが、息子と娘の十字架のデザインも組み合わせたチェーンも異なる為、全く違う印象を受けます。
そして、息子の洗礼式の機会に、義両親から私には「奇跡の聖母」のメダイのプレゼントまでありました。「奇跡の聖母」については他のブログにも書きましたが、私にとっては思い入れのある聖母である上、このお店のメダイの作りの美しさに感心して選びました。チェーンは、スペインでは非常に伝統的なデザインの「いかにも鎖」というものですが、この基本に戻った組み合わせが逆に清々しくさえ感じられます。義母より、「これはあなたのお母さんからのプレゼントよ。」と言われ、「お義母さんからのプレゼントで全く問題ないから。」と言いつつも、深い感謝の気持ちでいっぱいになりました。
メダイの起源は非常に古く、太古の昔の様々な「お守り」を身に付ける習慣と、キリスト教の聖人に対する崇拝が混ざり、訂正ローマ時代初期にはすでにそれらしきものが存在していたそうです。その後、キリスト教が広まるにつれてメダイの種類も増え、「⚪︎⚪︎の聖人」という種類によって恩恵に与ろうとする考えに押され、多くの人が身に付けるようになりました。
ご利益主義と言われるかも知れませんが、こういう歴史を知ると、メダイや十字架がより輝いて見えてきます。