Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

Casa – Museo Cerralbo

我が家から歩いて10分位の場所に、セラルボ美術館があります。以前から行きたいと思っていたのですが、ついに先々週の土曜に、夫に娘を預けて一人で見に行ってきました。

踊りの間。大理石はスペイン南部より。

踊りの間。大理石はスペイン南部より。

この建物は、1883年〜1893年に建てられました。この建物を買い取ったのが、当時のセラルボ公爵(Marqués de Cerralbo)エンリケ・デ・アギレラ・イ・ガンボア(Enrique de Aguilera y Gamboa)という人でした。彼は、公爵であると同時に、政治家・歴史家・考古学者としても知られた人で、美術館及び社交の場として使用する為にこの建物を購入しました。

入口の吹き抜けになった部分。圧巻です。

入口の吹き抜けになった部分。圧巻です。

建物の様式は、フランスの社交の場として使われた館のスタイル(所謂”Hôtel particulier”)から影響を受けており、31ある部屋のそれぞれが美しく飾られています。普通の美術館とは違い、建物の内装を見ることだけでも大満足ですが、もちろん超一級の美術品も沢山あります。ムリーリョ(Murillo)やスルバラン(Zurbarán)、アロンソ・カノ(Alonso Cano)の絵画もあれば、有名な学者・歴史家であるメネンデス・ペラヨ(Marcelino Menéndez y Pelayo)直筆の手紙等もあり、柵も何もない場所でこれらを間近に見ることができることは本当に貴重な機会です。

このセラルボ公爵は、亡くなる時に、美術品を含めたこの建物全てを国に寄付しました。最期まで、人や国に尽くした人だったのだと思います。

その後、1944年より、この建物は美術館として一般に公開されるようになり、1962年には、この時代の唯一の貴族の館として、「歴史・芸術的遺産(Monumento Histórico y Artístico)」に認定されます。

その後、2006年より建物の近代化が行われ、当時の状態に戻すとともに、その他設備の近代化が進められました。これらが全て完了したのが2010年なので、つい最近のことになります。

鹿の角を器用に組み合わせたこんな椅子が客間の入口にありました。

鹿の角を器用に組み合わせたこんな椅子が客間の入口にありました。

落ち着いた感じで、それでいて冷たさのない応接室の一つ。

落ち着いた感じで、それでいて冷たさのない応接室の一つ。

中に入ってみて、入口の階段の美しさ、天井の高さに圧倒されました。そして、壁紙や家具、光との調和が隅々までとられている数々の部屋にも感動しました。昔の館ですから、16〜19世紀のもので埋め尽くされているのですが、それが全く古くさい印象を与えないのですから、本当に不思議です。

甲冑と有名な絵画の数々。

甲冑と有名な絵画の数々。

中にはアラブ風の部屋があり、そこには日本の安土・桃山時代の甲冑もあり、日本からスペインに届くまでにどのような旅をしたんだろう・・・と、昔の日本に思いを馳せてみたりもしました。色々な国の文化が融合したスタイルからは、見習いたい部分も多々ありました。

アラブ風の部屋。ライトや天井の模様も本場のモロッコの感じが漂います。

アラブ風の部屋。ライトや天井の模様も本場のモロッコの感じが漂います。

甲冑とアラブ文化の融合。斬新で、同時に美しい調和です。

甲冑とアラブ文化の融合。斬新で、同時に美しい調和です。

この美術館、入館料は3ユーロですが、この値段でこれだけ沢山の物を間近で見られるのは本当に贅沢なことです。マドリッドの市内に来る機会のある方は、是非立ち寄ってみて下さい。キレイなものにゆっくり触れる贅沢を味わえますよ。

中央にある陶器のベルは中国製。この調和も印象的でした。

中央にある陶器のベルは中国製。この調和も印象的でした。

この美しいスペースを占領できる贅沢。有意義な時間でした。

この美しいスペースを占領できる贅沢。有意義な時間でした。

Tagged as: , , ,

Leave a Response