Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

リアサ(Riaza)での誕生会

先週末に友人のサプライズ誕生会に参加してきました。

誕生会の様子。参加者全員が子供連れで、とても賑やかなパーティーでした。

誕生会の様子。参加者全員が子供連れで、とても賑やかなパーティーでした。

遡ること数週間、40歳の誕生日を迎えるフアンマリア(Juan María)の奥さんマリーナ(Marina)より、皆にメールが届きました。「私たちと沢山の楽しいひと時を共有した皆さんと一緒に、フアンマリアの休暇の家で彼の誕生日をお祝いできたら嬉しいです。」とのこと。場所は、カスティーヤ・イ・レオン州、セゴビア県にあるリアサ(Riaza)という村。車でなければいけないということで、車のない私たちははたと悩んだのですが、マリーナから「大丈夫、参加する人と一緒に車で行けるようにコーディネートするから。」と言うありがたい言葉を聞き、参加を決意しました。

フアンマリアとマリーナは、私たちのご近所さん。同じ階に住んでいる関係で知り合い、その後は私の夫が彼の仕事を一部手伝ったり、私が沢山作ったケーキをお裾分けしたり・・・としているうちに仲良くなりました。お互い持ちつ持たれつで生活していますが、彼らとの共通の友人が特にいるわけでもなかったので、いきなりの誕生会のお誘いにはびっくりし、同時にとても嬉しく感じました。

リアサという村は、以前ブログに書いたセプルベダ(Sepúlveda)ブイトラゴ・デル・ロソヤ(Buitrago del Lozoya)にも近く、自然が豊かで光で溢れた場所です。12、13世紀の石造りの建物があり、いかにもスペインの田舎という雰囲気のある、のどかで穏やかな村です。冬は気温がマイナスにまで下がり、辺り一面雪景色になるとのこと。その時期も見頃かも知れません。

さて、友人夫婦ですが、彼らは私たちと違って大変宗教心に厚い人達です。「私たちはお祈りをしないと食事ができないので・・・」と言っていつも食卓の祝福の祈りを捧げますし、毎週日曜日は欠かさず教会でのミサに預かっています。また、フアンマリアは何と8人兄弟の長男です。スペインでは、フランコが亡くなるまではキリスト教が政治や生活のかなりの部分に関わっていた為、中絶は法律違反、子供が多い人は「良いキリスト教徒」という考えが一般的でした。そんなことから、彼はきっと厳格なキリスト教徒の家庭出身なんだろうな、と何となく感じていました。

皆よりiPadをプレゼントしました。

皆よりiPadをプレゼントしました。

今回、彼のサプライズ誕生会に参加し、彼らの友人や家族とも知り合いになることができました。フアンマリアの家族はとても素敵な人達で、働き者のお母さん、個性のある兄弟(今回は5人出席!)と話ができ、さらに巨大な休暇の家にお邪魔し、とても楽しいひと時を過ごしました。また、お父さんとお母さんが孫達とゆっくり過ごす為にリフォームしたという家は、まさに快適の一言。映画を観る為のスクリーンのある部屋、広々とした居間、4−5家族が泊まれる為の部屋、トランポリンやブランコのある庭などには思わず感激してしまいました。娘が途中で眠くなった時にも、空いた部屋の赤ちゃん用ベッドに安心して寝かせることができました。

彼の友人も素敵な人達が多かったです。そして、思った通り皆かなり宗教熱心な人達でした。そして・・・驚いた事に、どうやらほとんどの人達がOpus Deiに属していることが分かりました。

Opus Dei(ラテン語で「神の業」という意味)という名前は、映画「ダ・ヴィンチ・コード」で知った人もいると思いますが、スペインのホセマリア・エスクリバ(José María Escrivá)という人によって創設された為、スペインではかなり馴染みのある団体でもあります。Opus Deiについては、カトリックの根幹に属すると考える人もいれば、セクトと考える人もいます。また、構成員は「離婚をしていない」「男女の夫婦」であり、全世界に85000人程の会員がいます。よく知られている特徴として、離婚を受け入れないこと、政治家や教授、会社の重役等の所謂エリートを会員に含めようとすること等があげられるでしょう。

私たちをリアサまで連れて行ってくれた人は大学の法学部の教授で、彼との会話で、私の職場で働いていた人を知っているという話が出ました。「その人は、その後私たちの行うミーティングに参加し、その後ローマで本格的にキリスト教を勉強する為に仕事を辞めたんだよ。」と聞いて、おやっとひっかかりました。さらに、日本人の友人がいるという話になり、「その人は、バルセロナのIESE(スペインで一番権威のあるMBAの大学で、Opus Dei出身者が非常に多い)で勉強して、その後キリスト教徒になって、今は日本で活動しているよ。」と言われ、この人は非常に深い所まで知っている人では??という感じがしてきました。でも、とても良い人で、娘とたくさん遊んでくれました。

その後知り合った人達も親切な人達ばかりで、本当に話していて楽しかったですが、皆で一斉に食前の祈りを捧げたり、車に聖母の写真が張り付けられていたり、何となく「いかにも」というものを感じましたね。

さらに、そこに参加していた女性で「いけすかない」人が一人。私達の娘の名前がかおりと知り、「そんな名前だったら、その子は大きくなってから皆に何度も説明するのが嫌になるわよ。」と言い、「マリアとかじゃないから分かりにくいのね。」と言い始めました。夫が、「いや、かおりっていう名前は皆覚えやすいし、良い名前だっていうよ。」と言ったのですが、「きっとその名前は嫌になって、普通のスペイン語の名前が欲しくなるわよ。」と言ってきました。

ここにきて、私の母性本能(?)が首をもたげました。「あなた、きっとスペインの外に出た事がないんでしょう?」と言うと、彼女は「勿論あるわよ。」とのこと。そこで、「きっと休暇ででしょ?」と言ってその場は終わりにしましたが、どうやら彼女にとっては気に入らなかったようです。その後皆で写真を撮る時に、「クラブの人達だけでまずは写真を撮りましょう。」と言いました。私はそこで、「何のクラブ?私たちは何にも属していないけれど。」と言った所、別の人が「皆で一緒に撮ろう。」と言って収まりましたが、後で考えてみると、どうも「クラブ」がOpus Deiに入っている人を指したような気がしてなりませんでした・・・。

皆で記念写真をパチリ。

皆で記念写真をパチリ。

誕生会は、美味しいごちそうを沢山いただき、沢山の子供達と一緒の賑やかなものとなりました。私たちの同世代の友人で子供がいる人達は少ない為、これだけ子供がいると皆分かってくれてラクだなぁ、という印象を受けました。フアンマリアも、このサプライズに当日まで気づかなかったらしく、とても喜んでくれたようです。

とても素敵な人達も多く、また、ほとんどの人達が私たちの価値観も尊重してくれたので、夫も私ものびのびと過ごすことができました。ただ、こういう伝統的な価値観を持ったスペイン人夫婦の集まりに参加すると、私たちのようなカップルは全く違う存在だということも多少実感します。そういう型にはまらない存在である為に、ある時には会話が盛り上がりますが、ある時にはちょっとした偏見を持たれることもあります。夫とは、「これが、色々なことを経験することのメリットと、その為の代償として、人と違ってしまうということなんだろうね。」と話しました。

ちょっと誕生会から話は逸れましたが、美味しい食事、親切な人達、美しい景色・・・と素敵な週末を過ごすことができました。

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