Ceremonia de Té (お茶会)
先日マドリッドで茶道の会が開催されました。私のピアノの先生は茶道に精通した方で、常々「茶道は、着物、掛け軸、お花、陶器・・・と色々な日本文化に触れることができるから、海外に行くなら是非習うべきよ。」と言っていました。彼女の影響もあり、前からお茶を習いたいと思っていた私は、これは願ってもない好機と早速申込み。友人を誘って参加してきました。
お茶の会は、京都の裏千家の先生がお弟子さんと一緒にマドリッドまで来てくれ、その先生が解説をしつつ、お弟子さんがお茶を点てるというもの。広い部屋のステージにあたる部分に畳が敷かれ、「和敬清寂」と書かれた掛け軸が床の間に掛けられ、お花が飾られ、本当に和室の一間が忠実に再現されていました。先生が部屋にあるものの説明をし、掛け軸の意味を茶道の精神に即して話してくれました。皆、所作の一つ一つが優雅で、思わずうっとり見入ってしまいました。
さて、その後は私達がお菓子をいただき、その後にお茶をいただく番です。日本から来たお弟子さん達、マドリッドで茶道を習っている方達が協力して準備をしてくれましたが、そのお菓子の美しさ・美味しさには思わず感嘆してしまいました。お菓子は、何と日本を発つ前日に京都の和菓子屋さんに頼んだものとかで、黄・緑・赤の三色が移り行く秋を表しているそうです。食感や味へのこだわりも感じましたが、それを乗せる二つ折りの懐紙の間に薄い木の板が入っていたのにも感激しました。紙がふにゃふにゃしないようにしてあるんですね。「細やか」の一言に尽きます。
お茶もとても美味しかったです。これも京都からわざわざ取り寄せたものという話しで、少し苦味がありながらも味がまろやかで、久々に「本物のお茶」を堪能しました。
このお茶会、かなり人気があったらしく、100人毎に4回あったセッションはどれも満員になったそうです。器も大量に運ぶわけですし、これだけ色々と準備をするのは大変ですよね。その大変さがありながらも、それをしてくれる人がいるというのは、一重に日本文化の誇れる部分を他の人と共有したい、という気持ちの成せる技ではないでしょうか。自分の文化を愛し、伝統を愛するということに密かに感動してしまいました。
その後の皆からの質問が面白かったです。参加者の大半はスペイン人だったのですが、「あの紙ナプキン(懐紙のこと)は皆いつも持ち歩かなければいけないんですか?主は準備しないのですか?」「袱紗はテーブルクロスのようなものですか?」「主はお菓子を食べることができないんですか?」等々。発想が面白いですよね。
私は「どのような着物をどのような機会に着るべきか教えてください。」と頼みました。振袖は普通はお茶会には向かないこと、裾に柄が入っている比較的落ち着いたものがお茶会には好まれること、おめでたい席には派手な着物でもかまわないこと等の話の後、通訳の女性が「それではファッションショーをします!」と言って、着物の人を全員呼びました。並んだ人たちの美しいこと!
最後は時間が押してきて、皆急いで会場を後に。とても和やかな会で、日本の美を再認識した日でした。またこういった機会があれば嬉しいです。