Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

タンザニア旅行 4. Zanzibar

出帆!海の色の明るいこと明るいこと。

出帆!海の色の明るいこと明るいこと。

私達のタンザニアの旅も最後に近づきました。最後の目的地はザンジバル島。私達はイリンガという街からバスで8時間かけて首都のダル・エス・サラームに行き、そこからフェリーで2時間かけて現地に到着しました。バスの旅では、途中で一度トイレ休憩はあったものの、後は誰かが「トイレに行きたい。」という度に道で止まり、その辺りの木陰や民家の陰で用を足すというもの。この頃までにはアフリカの生活に慣れていたのでそこまで抵抗はありませんでしたが、さすがにバスの中で唯一のアジア人が外に出ると、皆が窓から顔を出して見ているんですね。それが何とも言えず窮屈ではありましたね・・・。

市場ではどこでも色とりどりのスカーフが売られています。

市場ではどこでも色とりどりのスカーフが売られています。

ダル・エス・サラーム到着後は、初日に泊まったホテルにもう一泊。初日は「まぁ、こんなものか。」と思ったホテルですが、長旅から戻ってみると、その質の高さに感激。シャワーが使えない、お湯が出ない、トイレは近くの樽の水で流す等々のホテルを経験した後に、お湯がしっかり出て、床は白いタイルで埋められ、ベッドのマットレスが硬すぎないホテルというのはまさに宮殿のようでした。ちなみに、このホテルの宿泊料は約25USD。現地の基準からすれば高いですが、私達から見ればかなりお得です。朝5時からコーランが聞こえるのが頭痛の種でしたが、それでもとても満足でした。

最初の日記にも書きましたが、ザンジバル島はアフリカ本土のタンザニアとは別の国だった経緯もあり、文化的にはかなり異なります。本土ではキリスト教、イスラム教、アフリカの土着宗教の信者がそれぞれいるのですが、ザンジバル等の95%はイスラム教徒。信仰心の篤さは人によるようですが、それでもフェリーに乗るなりイスラム教一色であるのがありありと分かりました。何と往路のフェリーにいる女性のほとんどはベール(中には全身黒のブルカ)を被っており、フェリーの中では「イスラム教徒はどうあるべきか」についての議論が延々とテレビで流されていました。(スワヒリ語の分かる友人のお陰で内容が分かりましたが、後は眠くなって寝ていました。)そして、偶像崇拝を禁止する宗教のせいか、島で人の写真を撮ることにはかなり注意しなければいけません。というわけで、本土では大体の場所で問題なく写真を撮れたのですが、ザンジバル島では建物や風景の写真がメインになってしまいました。

このザンジバル、日本人には馴染みが薄いかもしれませんが、ヨーロッパの人たちの間ではかなり知られたリゾート地です。何とイタリアとザンジバル島の間には飛行機の直行便があったりするんです。また、Queenのボーカルとして知られたFreddie Mercuryはこの島の生まれ。ハードロックカフェのような体裁でFreddie Mercury Cafeがありました。リゾート地と昔からのイスラム社会との対比が印象的な場所でした。

釣りをしている人。漁の仕方はかなり原始的。水が澄んでいて魚がすぐ見えるからでしょうか。

釣りをしている人。漁の仕方はかなり原始的。水が澄んでいて魚がすぐ見えるからでしょうか。

さて、私達の滞在したホテルはちょっとしたリゾート地という感じで、屋根がココナッツ椰子の葉で覆われた家が敷地に散在していました。中はちょっと薄暗いものの広々としていて、ベッドには蚊帳がかかっていて、アフリカ独特の飾りが壁にかかっていました。(この辺りは熱帯性気候なので、どこのホテルのベッドも蚊帳がかついています。)出てすぐの場所には籐の椅子が置いてあり、ブーゲンビリアの花が咲いていて、いかにも南国という感じ。そこから階段を降りて歩けばすぐにビーチで、このビーチの眺めの美しさには感嘆してしまいました。特にアクアスポーツをしたこともなければ、沖縄に行ったこともない私にとって、こんなにキレイな海との出会いは初めて。エメラルドグリーンとはこのことか、と思う程透明感のある美しい色でした。

一日目は海で少し泳いだりゆっくり散歩をしたりして楽しみました。ここにいるイタリア人観光客の数にびっくり。どこのレストランでもピザやパスタが出るのにも納得。。。さすがイタリア人です!また、レストランやホテルの従業員もイタリア語を話せる人が多く、改めてイタリアからの観光客獲得のために頑張っているんだなぁ、と感じました。ちなみに、イタリア人とイギリス人が至るところで日焼けをしようと浜辺に寝転がっているのを見ましたが、私にはできないことだと思いました。一緒に旅行をした友人達の中にも、日焼けをしようと外で寝そべる人もいれば、日陰のハンモックでゆっくり過ごす人もいて、人それぞれでした。日本人女性は日焼けをしないようにする、という話をしたところ、一人の友人には、「女性は日焼けをしているのがキレイなのに。」と言われてしまいました。「それも日焼けは良いという価値観の中だからそう思うだけだよ。私にとっては日焼けも白い肌も両方とも良いと思うけど。」と言いましたが。改めて、自分の見方が周りの「一般的な価値観」とは違うと感じた瞬間でした。

スルタンの宮殿から見える港の様子。

スルタンの宮殿から見える港の様子。

さとうきびジュースを作る機械!衛生的か心配でしたが、とても美味しくて飲んでも何ともありませんでした。

さとうきびジュースを作る機械!衛生的か心配でしたが、とても美味しくて飲んでも何ともありませんでした。

二日目はUNESCOの世界遺産にも登録されている、島の中心にあるストーン・タウンへ。この辺りの建物が、1830年代から1世紀程の間、石を使って建てられたことからこの名前がついています。アラブ、ペルシャ、エジプト、インド、ヨーロッパ、アフリカのデザインが融合されているというこれらの建築物は、長い年月を経て老朽化が進んでいるものも多いですが、House of Wondersと呼ばれる港近くの建物(スルタンが儀式を行うための宮殿として建て、その後はイギリスによって利用されたもの)は堂々とした風格を備えており、さらに最上階からの港の眺めは格別でした。夕焼けの薄紫色、行き交う船の数々を見ているだけで、昔のスルタンの時代や大航海時代の様子が再現されているようで、何とも言えないロマンを感じます。

今回私達が到着した日は何とラマダンの開始日。陽が出ている間は食事どころか水さえ飲めないということで、現地の人たちにとっては厳しい時期でした。私達観光客は、ホテルの近くにいれば何も問題なく食事ができましたが、一度外に出るとその差にびっくりしたものです。その分、夜に沢山の屋台が集まる公園で食事をした時には、そこにいる人たちの嬉しそうな様子に微笑ましく感じました。また、その場で作るサトウキビジュースを初めて飲みましたが、生姜の風味が効いていてとても美味しかったです。

こんな感じで海の中を1時間程泳ぎ回ります。

こんな感じで海の中を1時間程泳ぎ回ります。

三日目はシュノーケリング。船で1時間ほどかけて、珊瑚礁が美しいことで知られるビーチに。この美しさは本当に感動的でしたが、恥ずかしいことに私はいきなり船から足が底に届かない場所に降り、さらにシュノーケリングのチューブから水を吸い、一時あっぷあっぷ状態に・・・。プールにばかり慣れていると危険です(+_+;) 海の中は本当に綺麗で、珊瑚礁の美しさもそうですが、辺りをゆっくり泳ぐ魚の姿に感動しました。お昼ごはんは別の浜辺でいただきましたが、何と行きの船にごろりと横たわっていたカツオが料理された模様・・・。でも、このカツオをスパイスと生姜で蒸し煮にした料理は本当に美味しくて、野菜をマリネしたサラダ、ご飯、フルーツもあって、皆でぱくぱくいただきました。残った料理を周りのいた現地の人が美味しく食べている様子を見て、「こっちの人にとってはご馳走なんだなぁ」としみじみ。

帰りも同じ船でしたが、今度は風を利用して帰ることができました。帆を全開にした船はとても趣があって、モーターの船より早く進むくらい。静かな海をゆったりと進む船で帰るのはとても心地良かったです。風が気持ちよく、陽はさんさんと照り、思わずお昼寝をしてしまいました。

帆を張った船。かなりの早さで進みます。

帆を張った船。かなりの早さで進みます。

シーフードは本当に美味しかったです!

シーフードは本当に美味しかったです!

最後の夕飯はビーチにある小さなレストランで。浜辺にテーブルと椅子が置かれ、月明かりとロウソクの光で食事をいただくというものでしたが、辺りに誰もいない浜辺での夕飯は幻想的でさえありました。夕飯は大量の魚介類がメインで、ニンニクの入ったコクのあるソースをからめたエビやタコはとても美味しかったです。大きなロブスター一匹が2000円というのにもびっくり。これにイカ、マグロ、小エビ、マリネサラダ、ごはん、フライドポテト等がつき、海の幸を思う存分堪能しました。

これで私達の旅も終盤。最終日は朝7時にフェリーに乗って首都に戻り、朝食をいただき、市場で最後のお土産を買ったりしてから空港に。その後また24時間以上のフライトの後にマドリッド到着。さすがに2日以上ベッドで眠らずに動いていたので、帰宅後はふらふらでした。荷物を置いてからすぐに食料の調達に走り、シャワーを浴び(お湯がふんだんに出る!)、お昼を作って夫と食べてからお昼寝。数時間のお昼寝のはずが、起きてみたら夜中の1時・・・!さらに寝て、目が覚めたのは何と朝の9時!やはり、全く違う場所に身を置くと疲れも出るようです。

その次の日から仕事も始まって忙しい毎日になりましたが、時々何かを見ていると、旅行中の感覚がふと蘇ることがあります。あまりにも違うタンザニアとスペイン・日本。でも、子供達の笑顔や広大な自然、古びたシャワー、むせかえる程の土埃、日本ともスペインとも違う照りつける太陽、静まり返った空に輝く月・・・そういったものを、ある種の愛着を持って思い出している自分がいます。

タンザニアでの最後の夜は、お月様を見ながらの浜辺での夕食。この美しさは忘れられません。

タンザニアでの最後の夜は、お月様を見ながらの浜辺での夕食。この美しさは忘れられません。

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