Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

スペインの鉄板焼きレストラン

テーブルセッティングもちょっと和風。

テーブルセッティングもちょっと和風。

先日、夫の弟の誕生日をお祝いする為に、初めてマドリッドの鉄板焼きに挑戦しました。そのお店には既に一度和食を食べに入ったことがあり、味はそこそこだなぁと思っていましたが、その先にある鉄板焼きの場所があるのが気になっていました。今回はお祝いにかこつけて新しいお店の開拓です。日本料理がスペインでどのように捉えられているのか気になる所です。

日本では、鉄板焼きと言うと鉄板で調理するもの全てが入るような意味合いになります。キャンプで使うものから高級レストランまで、一応鉄板で焼けば鉄板焼きですよね。調べてみると、鉄板焼きは鉄の不足していた時代にはなかった調理法で、さらにお店でお客さんの前で調理するという鉄板焼きは1945年に神戸で始まったものだとか。ショーとしての鉄板焼きはその後20年程経ってからで、「目でも舌でも楽しむもの」という意味合いが強かったそうです。これが外国人には大人気となったとか。意外と歴史が浅いんですね。

スタンバイOK!

スタンバイOK!

今回私たちの行ったレストランの名前は「一番 (Ichiban)」。マドリッドの北の方にあるお店です。行ってびっくり、調理人も係の人もほとんど全て中国人。そこに数人スペイン人とフィリピン人と思われる男性がいましたが、日本人の店員は皆無です。そういえば、スペインにはかなり中国系の移民が多い上、スペイン人の大らかな(?)性格も合わさり、道を歩いていると「中国人」と言われる事がよくあります。悪意がある訳ではなく、注意をひきたいだけというのが分かるので特に気にしませんが、日本料理店を中国人が経営していてもあまり不思議がられません。

お料理は、本格的なものはなかなか本格的で、いか納豆や鰹の煮物等はとても美味しかったです。でも、お味噌汁一杯で5ユーロもするので、こういう家でできるものは極力避けましたね。お酒も美味しく、お店の雰囲気もまあまあ。周りを見つつ会話もお料理も楽しみました。

噂の鉢巻き!

噂の鉢巻き!

そこでお待ちかねの鉄板焼きの始まり。甚平を着た料理人が登場。が・・・料理人を見てびっくり!中国人だからではありません。何と、日の丸に「神風」と書いてある鉢巻きをしていたんです・・・。こういうスタイルが「和風」としてまかり通ってしまうことにも驚きましたが、何よりも、侵略された側である中国の人がそれを仕事と割り切って身につけていることに、少なからぬ衝撃を受けました。また、何が書かれているか分からないスペイン人にとっては、この経験が「日本料理のお店で食事をする」ということになっているんですよね。周りが気付かないなら、「神風」だろうと何だろうと問題ないのかも知れませんし、私が文句を言う事ではないかも知れません。ですが、日本人であり、且つ戦時中の特攻隊の話を読んだことのある私にとっては、何も知らない人たちが、商売の為、日本らしさを出す為にこの鉢巻きを使うことには心理的な抵抗がありました。私たちも、スペインに対する知識不足で、もしかしたら似たようなことをしているかも知れません。無知から来る行動をすぐ批判することは避けなければいけませんが、同時に、自分自身もっとこの国の文化や歴史を学んで行きたいと感じさせられた出来事でした。

皆興味津々です。

皆興味津々です。

さて、お料理の話に戻ります。鉄板焼きはショーということもあって、見ていてとても面白かったです。お肉を焼く時にお肉にワインをかけ、そこに火を点けて炎を燃え上がらせたり、生卵を鉄板で回転させた後コテにサッと乗せ、それを宙に放り投げてコテの角でキャッチ、卵を割って殻をそのまま投げ捨てるなんていうのもありました。塩こしょうの振り方も、コテでリズムを取りながら塩の入れ物を回転させたり、コショウ挽きを宙に放り投げたりしていて、テーブルに座る人たちも興味津々。一つびっくりしたのは、焼きそば用に薄焼き卵を作ってそれをロールした時。何と、それを細かく切った後に、それぞれのお客さんに投げ始めたんです。お客さんはそれを口でキャッチ!私はそのスピードに押されて思わずやってしまいましたが、他の女性は「私はテーブルではやらないわ」と言っていました。この辺りは、高級レストランとうたっているだけに、エンターテイメントにお客さんを巻き込むのが難しい所ですね。

お料理はとても美味しかったです。食材も新鮮で、焼き具合もなかなか良かったですね。夫の弟も喜んでくれ、皆で楽しいひと時を過ごす事ができました。デザートに頼んだアイスの天ぷらも美味でした。そういえば、アイスの天ぷらってアメリカやヨーロッパでは食べた事がありますが、日本では見た事がありません。これは海外限定なのでしょうか?

満足した一日でしたが、今回はやはり「神風」がどこか心にひっかかりました。「日本文化の本当の姿」なんて言うと大上段に構えた感じですが、周りの人に何か聞かれた時に、「日本文化とはこういうもの」「日本の歴史ではこうなっている」と答えられるだけの知識と教養を身につけたいなと思いました。友達から何か質問があった時に、せめて間違ったことを教えてはいけないなぁ・・・と。一歩一歩、小さなことからですね。

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