Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

小旅行ーブリュッセル

ルクセンブルグに滞在している間に、この小さな国の滞在を有効活用しようということで、小旅行をすることに決めました。ですが、ルクセンブルグ国内の田舎に行くより別の国に行く方が楽なことに気づき、まずは電車でベルギーの首都ブリュッセルに行く事に。

色々な建物に現地では有名な漫画家の絵がありました。

色々な建物に現地では有名な漫画家の絵がありました。

ルクセンブルグの中央駅からブリュッセルまでは電車で2時間半。日帰りの旅ということで、出発は朝6時過ぎ。眠たい目をこすりながらの開始となりましたが、特に電車の乗り換えも必要なく、なかなか快適な旅となりました。

グラン・プラスにあるこの建物は、マルクスとエンゲルスが共産主義の執筆活動をしたことでも知られています。

グラン・プラスにあるこの建物は、マルクスとエンゲルスが共産主義の執筆活動をしたことでも知られています。

限られた時間を有効に使おうと、夫がインターネットからブリュッセルの見所の資料を印刷して渡してくれました。ご存知の方も多いと思いますが、ベルギーは何千という種類のビールが造られるビール王国。見所の内容にも、ビール博物館やビールの美味しいバル等、ビールに関連した物が沢山。なるほどと思いながら読んでいましたが・・・ゴール地点がビール工場という所まで来て、これはちょっと行き過ぎではないかと思って夫に聞いてみると、案の定「ビール作りを趣味とする人の為の観光コース」ということが判明しました。実は、夫の趣味はビール作りなので、この情報をどこかから見つけてきたようです・・・。

グラン・プラスの市庁舎。

グラン・プラスの市庁舎。

到着した日、ブリュッセルは既に寒く、気温は10度程度で小雨の降る一日でした。まずは市街のグラン・プラス(Grand Place)に。私にとっては12年ぶりのブリュッセル。懐かしいような初めてのような、ちょっと不思議な感覚でした。グラン・プラスにあるビール博物館には結局入りませんでしたが、ビールが何百種類もあるお店に入ったり、16世紀からある建物を改築したというお店でビールとホットチョコレートをいただいたりして、色々な場所でビールを堪能しました。

ホットチョコレートに添えられたスペクロースというスパイスの効いたクッキーもベルギー特産です。

ホットチョコレートに添えられたスペクロースというスパイスの効いたクッキーもベルギー特産です。

また、ベルギーと言えばワッフルということで、老舗のワッフルのお店に行ってブリュッセル風ワッフルをいただきました。寒くて小雨の降る日に、お砂糖の甘い香りが立ちこめる店内でできたてのワッフルをいただく幸せ。妊娠糖尿病の私はちょっとしか食べられませんでしたが、こちらも十分堪能しました。

ワッフルを焼く機械。お店の人によると、一台2000ユーロ程度するとか。それでも買う人がいるらしいです。

ブリュッセル風ワッフルを焼く機械。お店の人によると、一台2000ユーロ程度するとか。それでも買う人がいるらしいです。

ちなみに、ベルギーには2種類のワッフルがあります。ブリュッセル風は、卵白がしっかり入ったちょっと柔らかい生地のワッフルで、生クリームやアイスクリーム、チョコレートをかけていただきます。リエージュ風はバニラで香りをつけたクッキーのような生地のワッフルで、よくチョコレートやお砂糖をかけて屋台で売られているものです。(リエージュ風は、後日リエージュを通った時に入手!)

リエージュ風ワッフルと焼く前の生地。

リエージュ風ワッフルと焼く前の生地。

ベルギービールのバルは色々ありますが、私達が最後に行ったのは、ブリュッセルで一番品揃えが豊富と言われているMoeder Lambicというバルです。何と、生ビール(缶や瓶ではなく、その場で注いでくれるもの)だけで40種類はあったと思います。夫が注文したIV Saisonも私が注文したGrisette Fruits des Boisもとてもフルーティーで美味しかったです。もちろん、私は全て飲み終えることはできず、しかも色々試飲しているうちに酔っぱらってしまい、市街を歩き回るのがだんだん大変になりましたが。

店内の様子。沢山の種類のビールグラスにも感嘆。

店内の様子。沢山の種類のビールグラスにも感嘆。

そして、最後はビール工場見学。カンティヨン(Cantillon)というビールの醸造所で、とても丁寧にビールができるまでの説明を受けました。

工場の外部。特に他に何にもないような場所にありました。

工場の外部。特に他に何にもないような場所にありました。

フランス語だったのでかなり集中していないと分からなかった上、酔いが回ってちょっとフラフラでしたが、工場見学もなかなか楽しかったです。

ビール造りの説明を受けている様子。大半はフランス人でしたが、スペイン人やイギリス人もちらほら。

ビール造りの説明を受けている様子。大半はフランス人でしたが、スペイン人やイギリス人もちらほら。

このビールの発酵過程は何と3年もかかること、発酵とは非常に複雑でデリケートな工程なので、建物の修理の時にも安易に壁や屋根を替えられない(微生物のバランスに影響を与えかねない為)こと、自然発酵だと昆虫が惹き付けられてやってくるので、クモがそういった虫を捕まえる役割を果たしていること(そして、クモの巣の掃除は禁止されていること)など、驚くことも色々でした。また、ここで造られるグーズ・ビールという種類のビールは、メートル・ブラッスール(maitre brasseur)というビール醸造のプロが、1年もの、2年もの、3年もののビールをブレンドし、さらに発酵させるということで作り出しています。同じ年に造られたビールでも樽によって微妙に味が違う為、ここでプロが「グーズ・ビールらしい味」を考えて混ぜることで全てが決まるそうです。本当に奥が深いです。

樽の貯蔵庫には、「時を軽んじる人を時は尊重しない」と書いてありました。待つ事は大切ということですね。

樽の貯蔵庫には、「時を軽んじる人を時は尊重しない」と書いてありました。待つ事は大切ということですね。

そして、お楽しみの試飲。

そして、お楽しみの試飲。

ちなみに、このビールを日本で輸入している会社があります。興味のある方は、是非以下のサイトをご覧下さい。

小西酒造本社
兵庫県伊丹市中央3丁目5番8号
http://www.konishi.be

スペインから遠く離れたベルギーですが、意外とスペインとのつながりが色々な所で見えてきます。例えば、神聖ローマ皇帝のカール5世はベルギーのゲント生まれですが、即位後スペイン国王としてスペインをも統治(スペインではカルロス1世)しています。その子フェリペ2世の時代には、敬虔なキリスト教徒であるこの王がベルギーに大軍を送り、何千という新教徒を処刑しました。その後、北部ネーデルランドはこれに抵抗して独立しますが、キリスト教徒の多い南部はスペインに忠誠を誓い、スペイン王国の一部に留まります。このような流れから、スペインにはフランドル画家の絵画が沢山ありますし、ベルギーにはスペイン語が語源の通りや名称も多く残っています。

また、ブリュッセルには、スペインのガリシア地方にあるキリスト教徒の聖地Santiago de Compostelaに通じる「巡礼の道」があり、そこでは有名な聖ヤコブの象徴である帆立貝の紋章にも出会います。また、スペインのイサベル女王がグラン・プラスの美しさを讃えたこともよく知られています。

通りに帆立貝のマークを発見!

通りに帆立貝のマークを発見!

Notre Dame du Bon Secourという教会にも・・・

Notre Dame du Bon Secourという教会にも・・・

帆立貝マークを発見!この教会は元は聖ヤコブの教会だったそうです。

帆立貝マークを発見!この教会は元は聖ヤコブの教会だったそうです。

短い滞在でしたが、とても充実した小旅行となりました。この滞在中、ルクセンブルグで娘のお世話をしてくれた義母にも感謝です。

義母と一緒に遊びながら、お風呂場で電話をかけるふりをする娘。

義母と一緒に遊びながら、お風呂場で電話をかけるふりをする娘。

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4 Comments

  1. お久しぶり。ベルギービール大好きで、シンガポールにいた時も毎週末Leffeを飲んでました。
    ブリュッセル・ブルージュ・アントワープと旅行したけどその時も毎晩飲んでたな・・。
    飲んでごはん食べるだけでもいいからまた行きたい!

    • いまいくん、お久しぶり!
      私の夫はビールは大好きなんだけど、ドイツビールよりはベルギービールが好きなので、きっと話が合うと思います(笑)
      Leffeは私も好きです。その中でも特に気に入ったものがあったけど、どれだったかなぁ・・・。
      いまいくんはまだシンガポールかな?またこちらに遊びに来てね。

  2. こんにちは。突然のコメント失礼いたします。直接のメッセージ欄がなかったためコメント欄に書かせtもらいました
    ほんとうに申し訳ありません。

    わたしは立教大学關ゼミナールの武藤奈月と申します。

    いきなりなのですが、私たちはいま、ゼミナール活動において日本の’GOPAN’という製品を海外に進出させようというテーマのもと、活動している最中であります。

    GOPANというのは、簡単に言えばごはんをパンに変えてしまうホームベーカリーのことです

    みんなで話し合った結果、進出先として日本と食文化の似ているスぺインがいいのではないか、という結論に至りました。

    しかしスぺインの食文化や、家電についての情報が非常に少なく困惑しております。

    そこでいくつかの質問に簡潔でもいいのでお答えしてもらうことはできますでしょうか。

    1)スペインでは1日に5回食事すると本やネットに書かれているのですが、お米とパンどういう比率で食べられているの でしょうか。またスぺインのお米はおいしいですか?

    2)ネットで、スペインでは、ホームベーカリーがどの家庭かかせない家電であると見たのですが、もしGOPANのようなお米からパンにできるホームベーカリーが販売されたら買いますか?

    まことに勝手ながらこのような場に失礼しました。

    ご協力のほうお願いします。

    長文失礼しました。

    • 武藤さま

      ご質問に回答させていただきますね。

      まず、スペインで1日5回食事というのは、特に一般化はできないと思います。
      一般的には、朝食は家で取る人と、職場で11時頃に取る人がいます。(2回取る人もいます。)そして、お昼が午後2時位、夜が午後9〜10時位です。その間にお腹が空けば軽くつまむこともあるという意味で「1日5回食事」となっているのかも知れませんが、日本でも似たような間食はあると思いますので、特にスペインに限ったこととは私は捉えていません。

      >お米とパンどういう比率で食べられているのでしょうか。

      これも日本同様個人の食生活による部分が多いと思いますので、比率を簡単に出せる訳ではありませんが、おそらく大半の人がパンをメインに食べ、週に2−3回ご飯を食べる程度だと思います。
      それでも、お米を使ったデザートもありますし、お米の料理はかなり多い方ですので、日本人には馴染みやすいかも知れません。

      >またスぺインのお米はおいしいですか?

      慣れ親しんだ日本のお米を理想とすると、スペインのお米はちょっと質が違う為、白米では食べたくないという日本人の話もよく聞きます。
      ですが、そもそも別の種類のお米ですし、外国のお米の中ではかなりモチモチした種類だと思います。
      個人的には、冷めたお米は日本米程の香りや艶がないものの、私はスペインのお米はなかなか美味しいと思います。それでも、全てが全て美味しいわけではなく、やはり自分で探さなければいけませんでしたよ。

      >2)ネットで、スペインでは、ホームベーカリーがどの家庭かかせない家電であると見たのですが、

      私は、ホームベーカリーを持っている人は誰も知りませんので、「欠かせない」という情報にはちょっと疑問を感じます。
      ただ、パンの文化は根付いている為、朝からパンを買いに行く人達は沢山いますよ。

      >もしGOPANのようなお米からパンにできるホームベーカリーが販売されたら買いますか?

      発想は面白いと思いますが、買うかどうかは①機械の値段、②ご飯以外の普通のパンもできるかどうか(ご飯でなければいけないと感じる人は少ないと思うからです)、③グルテンのアレルギーを持つ人等に絞ったニッチ商品とするか、等の条件に左右されると思います。
      お米で美味しいパンができるとしたらそれは非常に興味深いですが、そもそもヨーロッパは麦やジャガイモを主食とする地域の為、日本のように「主食のお米を使って・・・」という発想は出て来ません。
      「お米でなければいけない」という程お米を好きな人たちがスペインに多いとは言い切れませんので、それこそ「マクロビオティック」「エコ」「グルテンアレルギー」等に特化して販売した方が良いと思います。

      以上、少しでも参考になれば嬉しいです。