バレンシアでの披露宴
夫の友人の披露宴に出席する為に、9月の初めにバレンシアに行って来ました。マドリッドからは、AVEという高速電車(新幹線のようなもの)に乗って1時間半程です。
都市のバレンシアに滞在しただけですが、バレンシアと言うとバレンシア州?都市のバレンシア?と混乱してしまう人もいるかも知れませんので、簡単に違いをご説明します。
スペインには自治州と呼ばれる17の州(Comunidad autónoma)があります。その州の下の区画が県(Provincia)、さらに県の下の区画が市町村(Municipio)となります。州には州都が、県には県都がありますが、州都とその中の一つの県の県都が一致している地域が多く、また、州の下に県が一つだけといった自治州もある為、日本の地方・都道府県・市町村制度と似ている部分とそうでない部分があるように思います。
例えば、アンダルシア地方には観光地として有名なグラナダ、セビリア、マラガ等がありますが、これらは都市であると同時に県の名前でもあります。逆に、バレアレス諸島州(Isla de Baleares)と言うとあまり馴染みがなくても、州都のパルマ・デ・マヨルカ(Palma de Mallorca、マヨルカ島)というと聞き覚えのある人もいるかも知れません。ちなみに、バルセロナはカタルーニャ州バルセロナ県の県都で、カタルーニャ州の州都でもあります。ちょっと意外なのは、巡礼の道のゴールとして有名なサンティアゴ・デ・コンポステラ(Santiago de Compostela)。これはガリシア州の州都ですが、ガリシアにある4県の県都ではありません。それだけ、この都市が州にとって特殊な性格を持つものだということでしょうか。
バレンシアには、実は沢山の有名な歴史があります。例えば、チェーザレ・ボルジアで有名なボルジア家はバレンシアの出身。(スペイン語では「ボルジア」の発音が「ボルヒア」になります。)スペインに来て間もない頃にこのボルジア家の映画を観ましたが、「どうして皆イタリア語ではなくてスペイン語を話しているんだろう?」とびっくりした覚えがあります。舞台はイタリアでも出身地はアラゴン王国のバレンシアだった訳ですね。
また、13世紀にイスラム勢力をスペインから追い出すのに一役買ったアラゴン王のハイメ征服王(ハイメ1世、Jaime I de Aragón el Conquistador)は、実はバレンシアも征服しています。(バレンシアの場合は、イスラム教徒から奪回というより、カスティーリャ王国との争いが主でしたが。)この王様については、昨年マヨルカ島に行った時の日記に書きましたが、こういう歴史のつながりは面白いですね。また、この時代にフランス王国カペー朝のルイ9世が、カール大帝時代からの特権だったバルセロナの領有権を放棄。この領土も正式にアラゴン王国に含まれることになります。この辺り、カール大帝(シャルルマーニュ)やカペー朝等の名前が出ると、高校時代に世界史で勉強したこととのつながりが見えてこれまた面白いです。
その他、パエリヤの発祥の地もバレンシアですし、ファリャ(Falla、バレンシア語ではFalle)という火祭りで有名なのもバレンシア。オルチャタ(orchata、バレンシア語ではorxata)というchufaという植物の根から取れる甘味料(日本にはない植物のようです)、水、砂糖を混ぜて作られた飲み物と、その飲み物に浸して食べるちょっと甘くて長いパン、ファルトン(farton)等もよく知られています。ちなみに、オルチャタはイタリアやマルタ島でも作られる飲み物だそうです。
結婚式は教会ではなく、市役所で執り行われました。日本の市役所とは違い、大体の市役所には結婚式を執り行う部屋があり、そこで、判事が夫婦の役割や義務について読み上げ、その後に新郎新婦が宣誓をするというもの。そして、めでたく結婚成立となると、市の職員より二人の名前や生年月日等が入った、所謂「戸籍の冊子(Libro de Familia)」が手渡されます。(写真は2008年の日記をどうぞ。)最後に書類にサインをして終了。新婦のドレスがいかにも花嫁さんという感じのドレスとは違い、それがまた素敵で彼女に似合っていました。また、ドレスの差し色の緑と新郎のネクタイの緑も合っていて、品の良さを感じました。
この新郎新婦ですが、新郎の両親はルクセンブルグ人とポルトガル人、新婦の両親はスペイン人とイギリス人ということで、なかなかインターナショナルなカップルです。二人ともルクセンブルグで育った為、お互いの共通言語はフランス語ですが、もちろん英語も話しますし、ポルトガル語とスペイン語は似ているのでそれなりに言っていることも分かるという感じで、色々な場所で違った言語が飛び交っていました。結婚式がスペインになったのは、花嫁の父の家系が何世紀も前から続くバレンシアの名家で、そこの親戚を沢山呼ぶ必要があったからのようです。が、新郎新婦が選んだ場所は若い人達の感性が反映されていて、それはそれで興味深かったです。
披露宴・昼の部は、Palau de les Arts Reina Sofía (カステヤーノ語・標準スペイン語では、Palacio de los Artes Reina Sofía)という、オペラやコンサートホール、バレーや劇場の入った文化施設の建物で行われました。この建物全体の広さは何と4万平方メートル以上、高さは75メートル以上にもなり、本当にその大きさには圧倒されました。さらに、6万平方メートル以上の庭と、1万平方メートル以上の面積の噴水やプールもあったそうで、道理で入り口から建物に到着するまで時間がかかったものだ・・・と後で納得しました。建物はちょっとシドニーのオペラハウスに似ていました。
到着後は、まずテーブル席に座る前に外でカクテルです。色々な美味しいカナッペが出され、皆で飲み物を飲みながら、周りの人と歓談です。そこで子供のいる人達と沢山話し、それまで「コエーン!(公園)」と不満がっていた娘は、同い年くらいの女の子からペンやスタンプを借りてようやくご機嫌に。カナッペのケータリングは、招待客の一人の従兄弟が経営するお店が担当していたそうで、どれもとても美味しかったです。
カクテルの後には披露宴のランチが建物の中でスタート。どれも美味しく、何よりも皆との会話が弾み、とても楽しいひとときを過ごしました。
ランチの途中で、娘を寝かせる為に義母が外に出てベビーカーを押してくれましたが・・・寝ない娘。どんなに頑張って歩き続けても、いつものように寝てくれません。
義母に休んでもらう為に、今度は私がお散歩です。でもやはり寝ない・・・。最終的には、夫が娘と一緒に外に出て、娘の顔をなで続け、まぶたを閉じるように繰り返すこと5分。娘も心地よかったのか、そのまま夫の腕をつかんだまま眠りに落ちました。夫は魔法の手を持っています(笑)
ランチが終わったのは午後6時頃。その後一度ホテルに戻って休んだ後、夜のカクテル&ダンスパーティーに参加です。夜のパーティーは参加したい人のみ参加のかなりカジュアルなもので、そこまでドレスアップする必要はありませんでした。女性の大半は、パーティーのドレスから落ち着いた服に着替えて参加していました。皆既にランチで満腹でほとんど食べませんでしたが、娘はお昼も夜もかなりしっかりと食べ、さらに夜中まで皆と一緒に過ごし、おじいちゃまと一緒にダンスまで披露しました。(しゃがんではジャンプの繰り返しと、くるくる回るだけでしたが。)私と娘は真夜中に会場を出てタクシーで帰り、夜中の1時前に娘を寝かしつけて休みましたが、夫は朝の5時位まで会場にいたようです。
次の日は、知り合いの人達と一緒に観光を楽しみ、夜にAVEに乗ってマドリッドに。娘にとってはかなりハードなスケジュールでしたが、皆と一緒の時間をそれなりに楽しんでいたようで良かったです。
さて、今度はついに待ちに待った私達の休暇です。バレンシアの旅行から戻ってすぐに別の旅行の準備をすることになり、荷物を出したり入れたりでバタバタしてしまいましたが、ようやくゆっくり休暇をとれるということでワクワクしています。休暇については、また別の日記でご連絡します。
素敵な披露宴ですね。
Ciudad de las Cienciasの近くでしょうか。
スペインの結婚式・披露宴は長いですが、休憩後に夜の部もあるとは、皆さん本当にタフですね。
でも、立食のアペリティブやダンスがあって、楽しめます。
Harukiさんもかおりちゃんも、素敵なドレスでとても似合っています!
次の旅行の記事も楽しみにしています。
チェスカさん
メッセージありがとうございます。
チェスカさんはCiudad de las Cienciasに行かれたことがあるんですね。
このBellas Artesもかなり近くにあって、建築スタイルでお分かりかも知れませんが、同じバレンシアの建築士によるものなんです。
夜の部に参加していない人達もいたようですが、意外と赤ちゃん連れで参加している人がいたのもスペインならではでした。
結婚式に娘が着ていたドレスはEl Corte Inglésのdulcesというメーカーのものですが、スペインの赤ちゃん服の中でも私が特に好きなメーカーの一つです。
チェスカさんのお嬢さんが生まれたら、是非のぞいてみて下さいね☆
パエリアはカリカリのお焦げが薄くついてて美味しそう。。。(お焦げ大好き)うーーーむ スペイン(も)いいですね。個人的には宇宙船みたいな建物群にはかなり唐突感があるので、旧市街が心地よいですが。。。
高2父さん
お焦げがありそうであまりないんですよね。
逆に、家で作るパエリヤの方がお焦げは沢山あるかも知れません。(下手なせいかも??)
「宇宙船みたいな建物群」は披露宴にはお洒落で良かったですが、旧市街は独特の良さがありますね。
今度オペラやコンサートに行って、音響の良さを体感してみたいものです。