Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

LOEWE

ロエベ春夏コレクションの広告

ロエベ春夏コレクションの広告

マドリッド発のブランドと言えば、まず最初に思いつくのがロエベ (LOEWE)かも知れません。最高の皮を一流の職人が加工し、長い間使っても飽きのこないデザインに仕上げたもの、そして、洗練された雰囲気と、圧倒的な存在感があるのがこのブランドの特徴だと思います。

この広告のシックなこと。こういうフォルムの美しさに魅かれます。

この広告のシックなこと。こういうフォルムの美しさに魅かれます。

実は、私はブランド物にはそこまで魅力を感じません。質の良い物、手作りの物、デザインが洗練された物は好きですが、それはあくまで値段と質の関係を見ての話。質をちょっと良くする為に何十万円も払うよりは、質がそこそこ良くてお手頃な値段の方がよっぽど良いと思う方です。また、あまりに有名なブランドだと(特に日本では)街中に持っている人が溢れかえる感があり、さらにロゴが目立っているものが多く、あまり自分らしくない気がしてしまいます。その結果、大学時代は「デザインが面白くて、過酷な使用に耐えるもの」、仕事をしていた頃は「デザインが面白くて、フォーマルにも使える大きめのもの(できれば一点もの)」が主流でした。

そんな私が、「ブランド代がかかったとしても魅かれてしまうバッグ」として選ぶのがこのロエベです。実は、スペインに来る前はそこまでよく知らなかったブランドだったのですが、スペインで沢山の皮革製品を見た後に最終的に「これは絶品!」と辿り着いたのがこのブランドでした。また、伝統を受け継いでいるブランドというのは、新興のブランドでは一朝一夕に追いつけない雰囲気もあるんですよね。この歴史の重みが魅力の一つでもあると思います。

ロエベは1846年マドリッド創業。創業者は父親がドイツ人、祖母がイタリア人のマドリッドに住む起業家フアン・ロエベ・ラッテ(Juan Loewe Latte)。彼が小さな工場を現在のエチェガライ通り(Calle Echegaray)に開いたのが始まりです。(ちなみに、この通りは以前私が住んでいた所から徒歩5分でした。)

Amazonaのワニ皮版。

Amazonaのワニ皮版。

その後、エンリケ・ロスバーグ・ロエベ (Enrique Rosseberg Lowew)というドイツの皮職人がマドリッドに到着。彼がスペインの皮の質の良さに目を付け、自分の技術とスペインの最高級の皮革を合わせた作品を作ったのが、このブランドが有名になった理由です。20世紀初めにはこのロエベが王室御用達となり、その後このブランドは有名な通りにいくつも出店を始めます。特に有名なのはグラン・ビア通り(Calle Gran Vía)のお店と、セラーノ通り(Calle Serrano)のお店でしょうか。このグラン・ビア通りのお店はスペイン内戦直後の1939年にオープンし、今でも多くの顧客を集めています。また、セラーノ通りのお店には男性用セクションも登場し、バッグだけでなく、ネクタイや洋服等多種多様な製品があり、見ているだけでもうっとりしてしまいます。

ロエベの海外進出は1963年に開始されます。この年にロンドンに一店舗オープン。日本には1973年に第一号店がオープンしました。アジアへの進出が盛んになったのはこの頃からのようです。

ゴールドもあります。キラキラ☆

ゴールドもあります。キラキラ☆

ロエベのコレクションとして有名なのは、まず「アマゾナ(Amazona)」でしょうか。四角いころんとした形も素敵ですが、何よりも長期の使用に耐えうるデザインと飽きのこない形が魅力的です。色々な皮の組み合わせがありますが、私が好きなのはやはりバックスキンの定番タイプです。縫製もしっかりしている上、細かいパーツにまでこだわりを感じさせます。これは1975年に販売が開始され、今に至るまでベストセラーの一つです。以前はロゴが小さかったのですが、ここ数年は大きいロゴが目立つ形でつけられており、ちょっとそれが残念でした。ところが、最近になってまた小さいロゴのものが出始めました。ちょっと控え目なくらいがロエベは美しいと思っていたので、何だかホッとしてしまいました(笑)

ナッパ7000という、世界最高とされるスペイン国産のラムスキンを使用した「ナッパ (Nappa) コレクション」もロエベを有名にしたコレクションの一つです。今まではかちっとした形をしていたバッグを、形を自由に変えられるものとして扱った点で、発売された1979年当時は非常に画期的なものでした。驚く程柔らかな皮もそうですが、このバッグの発色の美しさも特筆に値します。

この革の柔らかさにはびっくりします。

この革の柔らかさにはびっくりします。

1987年にロエベはLVMHの傘下に入ります。これによってデザインが「LVMH風」になったとも言われますが、これ以降ロエベは年2回のパリコレに参加するようになり、トータルなレザーメゾンとして発展します。そういう意味では、常に新しい分野を模索しながらも既存の製品をそのままにしながら手を加えていっており、なかなか変化が楽しみなブランドでもあります。

春夏に似合いそうな柔らかくて軽いバッグです。

春夏に似合いそうな柔らかくて軽いバッグです。


マイバッグ。写真の腕が・・・(^^;)

マイバッグ。写真の腕が・・・(^^;)

去年、さんざん迷った挙げ句に思い切ってバッグを一つ買いました。ロエベのアマゾナの中では一番シンプルな黒のバックスキンのものです。個人的には金の金具があまり好きでないので、銀色がようやく出回った時を狙いましたが、やはり待って良かったと思いました。デザインは特に凝ってはいませんが、縫製や細部に至る形にこだわりを感じますし、芸術品といった感じで、やはりバッグの存在感が違うと思います。使いやすいですし、フォーマルにもカジュアルにも、何でも合わせられるのが嬉しいです。そして、なぜかこのバッグを持つと、ちょっと気が引き締まるように思います。背筋がぴんとなるような、そんなバッグです。

日本でも既に知られているロエベですが、やはりそれだけの価値のあるバッグだなと思います。願わくば、大切に使って、自分の子供や孫にも伝えて行けたら・・・と思いながら、日々のお供にしています。日本にもお店がありますので、良かったら一度見てみて下さい。美しい物を見るというだけでも行く価値のあるお店だと思います。

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2 Comments

  1. 私もロエベファンです。ファッションビクティムにはなっていないと思いますが、確かにブランド品は優れたものがあると思っています。なんでもかんでもブランドにこだわることはありませんが、高品質にはこだわってしまいます。昨年くらいからロエベのバックではなく服のコレクションも素敵で、ついセール中は欲しくなってしまいます。私もかなり前にアマゾナのバックは購入したのですが、結局母にプレゼントし、その後また自分で使いたくなって持ち帰ってきました。ロエベは長年使えるところがいいですね。

    • chihoさんもロエベファンなんですね。嬉しいです。
      私の友人も、ロエベの服のコレクションはとても良いと言っていました。品質が良いだけでなく、デザインがオリジナルで、それでいて飽きのこないものだとか。
      私は男性の服しか実際に見たことがありませんが、本当にお洒落だと感心しました。
      帽子や手袋もお洒落でしたよ。プレゼントにも素敵だと思います。