Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

サーカス

義父より、「かおりもあとちょっとで3歳だし、もうサーカスを楽しめる年齢になったから、女性3人(義母、私、娘)でクリスマス休暇中にサーカスに行ってきたらどうかな?」との提案がありました。サーカスが家族で行く定番ということも何も知らなかった私ですが、早速マドリッドのサーカスについて調べてみると、何と3種類のサーカスのグループが公演を行っていることが分かりました。娘が楽しめそうということで、動物が沢山登場するサーカスを選び、早速チケットを購入。入場料は20ユーロ程度。家から比較的近くにある動物園の入園料が20ユーロということを考えると、これは色々楽しめてお得です。(上野動物園が恋しいです!)

幻想的なサーカスでした。

幻想的なサーカスでした。

サーカスの歴史は非常に古いようで、何と古代エジプト時代にまで遡ることができるとか。また、スペイン語では”Circo”と呼ばれるサーカスですが、この名前は古代ローマの円形劇場から来ています。”circle(スペイン語ではcírculo)”と”circo”の語源は同じなんです。この名前が今のように、アクロバット、動物の曲芸、ピエロ等を全て含めた総合的な見世物としての歴史は19世紀からだそうですが、ヨーロッパでは、遊園地等同様、伝統的に子供達が親と行く楽しみの一つになっています。

日本にも、昔からロシアのボリショイサーカス、木下サーカス等の公演がありましたし、90年代からはシルクドソレイユ等もかなり日本で人気があった記憶がありますが、私が小さい頃は、サーカスは家族で行く場所とまでは認識されていなかったと思います。(少なくとも、私は家族でサーカスに行ったことはありません。)一度行ったのは、高校時代にアメリカに留学していた時のみ。かなり単純なサーカスだった上、到着して間もない頃だったので、時差で半分寝ぼけていてそこまで印象には残りませんでした。その程度の経験しかなかったので、義父から「伝統的に」「クリスマスシーズン」に行くサーカスと言われ、俄然興味が湧いてきました。

象の登場!

象の登場!

サーカスには1月になってから行きました。以前の日記にも書きましたが、スペインで言う「クリスマスシーズン」は年明けの東方の三博士が来る日までを含む為、大晦日からのパーテイー等の後にひっそりと過ごす1月1日という穴場を選びました。息子を夫と義父に託し、義母、娘と私の3人でいざ出発。

到着したサーカスは、皆さんのよく知っている白いテントです。マドリッドの中心地とは言え、中心の中心から離れるとそれなりに広い土地もあり、家からタクシーで20分程度行った場所にいきなりどかんとテントが張ってあったので、かなりビックリしました。いよいよサーカスの始まりです。

サーカスには色々な人が出てきます。ボールやフープ、火のついた松明、更にはナイフ等を投げる曲芸師のことをmalabaristaと呼びますが、彼らが手を替え品を替えで色々な物を投げるのは圧巻でした。

娘は興味津々です。

娘は興味津々です。

その後は、動物の登場。調教師(domador)が動物を従えてやってきます。この名前は”domar”という動詞から来ていますが、”domar”は「飼いならす、手なずける、従わせる」等の意味があるのに対し、”domesticar”は「家畜化する、手なずける」等の意味になるので、ちょっとニュアンスが違うことも知りました。何はともあれ、娘はここで初めて本物のラクダ、シマウマ、象、ライオン、虎を目にすることができ、本当に嬉しそうでした。

ラクダです。ちなみに、日本では一こぶラクダも二こぶラクダも同じラクダですが、スペイン語では一こぶラクダは"dromedario"、二こぶラクダは"camello"となります。

ラクダです。ちなみに、日本では一こぶラクダも二こぶラクダも同じラクダですが、スペイン語では一こぶラクダは”dromedario”、二こぶラクダは”camello”となります。

象さんが座ってポーズ。

象さんが座ってポーズ。

手品のようなものもいくつかあり、鎖で縛られて布を被せられた男性が鎖から抜け出したり、箱の中に閉じ込められた女性が虎に変わったり、なかなか面白かったです。

サーカスの人達は鍛えられているのでしょう。皆、体のラインが美しいなぁと思いました。(サーカスを観に来たはずなんですけど・笑)

サーカスの人達は鍛えられているのでしょう。皆、体のラインが美しいなぁと思いました。(サーカスを観に来たはずなんですけど・笑)

ピエロ(”payaso”)が途中でおもしろおかしい劇を入れたり、観客を巻き込んで踊ったりしたのも良かったです。後半はちょっとピエロの登場が多すぎる感がありましたが、構成はしっかりしていました。

ピエロ達。

ピエロ達。

その他、空中ブランコ(”trapecio”)の空中ブランコ乗り(“trapecista”)の曲芸は、舞台のセッティングが完了した時点でかなり興奮しましたし、その動きの速さには感心させられました。

「見て見てー!」と大興奮の娘。

「見て見てー!」と大興奮の娘。

また、一人の人の足だけで支えられた梯子を上る子供、くるくると体を回転させる人達の曲芸等も圧巻で、こういう曲芸師(英語の”acrobat”と同じ語源で “acróbata”と呼ばれます)の技の完成度の高さにも驚きました。休憩も含めて3時間程のサーカス、大満足のうちに終了です。

檻があるとはいえ、見ていてドキドキしたライオン&虎のショー。

檻があるとはいえ、見ていてドキドキしたライオン&虎のショー。

今回、サーカスで特に娘が気に入ったのは「象さん」でした。色々な絵本やアニメで目にし、「ぞうさん」の歌も歌えるようになっても、やはり本当の象を見るのとは全然違ったようで、三頭の象が入ってきた時から大興奮で笑っていました。娘がこんなに喜んでいるのを見ると、こちらも来て良かったという気持ちになります。来年以降は、子供達二人を連れて行きたいと思いました。

娘、象を見て大興奮です。

娘、象を見て大興奮です。

サーカス全体を見て、子供に夢を与えるようなイベントになって良かったなと思った反面、他にも色々なことを感じました。

①ライオンと虎のショーでは、大きな檻が組み立てられ、観客には絶対危害が加わらないようにできていたのは良いですが、それでも調教師が途中でライオンの口の中に頭を入れたのにはビックリ。いくら何でもやり過ぎでは・・・と思いました。特に、ヨーロッパで数年前に同じ事をして殺された人がいたという話も聞いたので、これはあまりしてほしくないと正直思いました。

見ていてあまり心臓によくありませんでした・・・。

見ていてあまり心臓によくありませんでした・・・。

②アクロバットの演技の一つでは、5歳程度と思われる女の子が5メートル程の梯子の上で逆立ちをしたりするものがありました。安全紐がウエストに付いていたものの、こんなに小さい子供にまでこんな危険なことをやらせるのかと思うと、ちょっと心が痛みました。小さい頃からこういった経験を積むからこそ、大きくなって素晴らしい演技のできる人達に成長するのだと思いますが、やはり子供を持つ親として複雑な気持ちでもありました。

こんなに小さな子なのです。

こんなに小さな子なのです。

③サーカスの間に、赤ちゃんライオンを連れた男性が子供達にライオンを見せて一緒に写真を撮り、その後に希望者に写真を売っていました。サーカスというのは、団員への給与の支払の他、移動費や設備維持費、そして動物の維持費等が必要ですので、赤ちゃんライオンをこういう形で使うのも理解できます。それでも、こんな赤ちゃんの動物までビジネスに使うということに対し、やはり何とも言えない複雑な気持ちを抱いてしまいました。

普通の人ができないことに挑戦し、夢のような空間を作り上げるのがサーカスに従事する人達の仕事ですから、並大抵の努力ではこのビジネスは立ち行かないと思います。そういう意味で、危険と隣り合わせの環境で、子供達に夢を与える為に日々訓練を行う彼らに、私はある種の尊敬の念を抱いています。それでも、周りの期待に応える為、或いは他のライバルに差をつけるため、日々更に危険なパフォーマンスを追求するというのは、ともするとサーカスの本質から外れてしまうのでは・・・という危惧も感じています。

フィナーレ。

フィナーレ。

娘が喜んでくれたので良かったという満足感と、「夢のサーカス」の舞台裏への思いが交錯した日でした。

「サーカスさん、ありがとう」と言って還る娘。

「サーカスさん、ありがとう」と言って還る娘。

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1 Comment

  1. 好文章,内容文章雅致.

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