Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

大家族

生後4日の娘。公園にて。

生後4日の娘。公園にて。

4月13日に次女の希良・アンドレア(Kira Andrea)が生まれました。前々回の日記に書きましたが、今回は波乱万丈だった妊娠期間。ただ、そのお陰で今回どのようなお産をしてみたいか、どのように産前産後を過ごしたいか、と言ったことをじっくり考える期間が与えられたように思います。

どの妊婦さんもそうなのかも知れませんが、私も例に漏れず、最初のお産は手探り状態でした。まずは赤ちゃんグッズ。長女を妊娠していた時には何が必要なのか、どんな洋服やベビーカーが必要なのかも分からず、手探り状態で赤ちゃんグッズを揃えていたのが懐かしいです。最初はスペインのパステルカラーの赤ちゃん服が甘すぎるような気がして、長女の誕生前に買った物はカラフルな物ばかりでした。ですが、私の好みも時と共に変わり、息子が生まれた時にはスペインやフランス系の服がかなり増え、受け入れがたい男の子用のスペイン服もあったものの、全体としてかなり気にるように。そして、今回の娘の時には「乳児はソフトな色がやっぱり似合う」とばかりにこちらの国好みの淡い色使いの物が増えていると実感しました。(それでも、リボンが大きい服はどうしても敬遠したくなってしまいますが。)

娘の誕生祝に夫の会社より。スペインにも素敵な浜束を作るお花屋さんが増えてきました。

娘の誕生祝に夫の会社より。スペインにも素敵な浜束を作るお花屋さんが増えてきました。

また、長女を妊娠していた時には、スペインの公立・私立病院の違いについて等、色々なことを学びました。こちらは公立病院での出産はすべて無料で設備も非常に整っている反面、検診や出産時の医師や助産婦を選ぶことができず、行く度に違う医師が担当するということが多々あります。反面、私立は自分の選んだ医師に妊娠から出産までを全て見てもらうことができるのが利点ですが、医師が休暇の間は検診がなくなってしまったり、医師のスケジュールに合わせて出産時期を決める妊婦の話も聞きます。

公立の場合、住んでいる地区によってかかりつけの病院が決まりますが、マドリッドでは「病院選択の自由(libre elección)」というものがあり、手続きを踏めば、かかりつけの病院やお産の病院を変更することができます。私たちは、長女の時はよく分からないまま、ひとまず自分の地区に該当する公立の病院でお産を経験しました。この病院がなかなか良く、設備も充実していることから、息子の時も特に迷わずこの病院にしました。実際、息子の時には入院も経験し、改めてこの病院の良さを実感しました。

長男と長女が生まれた公立病院の中。設備もしっかりしていて医者と助産婦の対応も良かったです。

長男と長女が生まれた公立病院の中。設備もしっかりしていて医者と助産婦の対応も良かったです。

ただ、今回は色々なことがあり、さらに次女でお産も最後と考え、「もう少し主体的にお産に取り組んでみたい」「夫婦できちんとお産に向き合ってみたい」という思いが強くなりました。今までの病院も良かったものの、いわゆる「アクティブバース」「フリースタイル出産」に関してはそこまで理解がないことが分かり、自分なりに病院を訪問したり友人と話したりし、最終的にはマドリッドの郊外にあるアルコルコン病院(Hospital Universitario Fundación Alcorcón)というところを選びました。

アルコルコン病院。

アルコルコン病院。

さて、この病院に限らず、アクティブバースを奨励する病院ではいくつかの特徴があります。

①バースプラン
「バースプラン」とは、自分でどのようにお産をしたいかについて書くというもので、スペインでは保健省のHPでこのプランをダウンロードし、自分の希望を記入して提出できるようになっており、アクティブバースの病院ではこのバースプランを読み、出産前に病院に提出しておくことが奨励されています。(普通の病院では、これを渡してもあまり相手にされないと聞きましたが…。)
もちろん、バースプラン通りにお産が進む訳ではないので、これはあくまで目安ですが、これがなかなか面白く、「お産の時には病院の白衣を着る/自分の服を着る」「お産の立会いは⚪︎⚪︎がする」と言ったものから、「出産後へその緒を自分で切る/立会者に切ってもらう」と言うものまであります。

バースプランの冊子の表紙。

バースプランの冊子の表紙。

②陣痛の痛みを和らげる方法
普通の病院では、陣痛の痛みを和らげるのには局所麻酔を使った無痛分娩が一般的です。これに対し、アクティブバースを奨励する病院では、無痛分娩という選択肢を残しつつも、希望すれば他の方法も提供してくれます。例としては、座ったりできる大きなエクササイズボール、電子レンジで温めて使用する種やお豆の入った袋(袋の熱で痛みが和らぐそうです)、アロマオイル、亜酸化窒素(笑気ガス、óxido de nitrógeno)等です。

③可動性
無痛分娩を指定すると、その時点で動くことはほとんどできなくなりますが、アクティブバースを奨励する病院では陣痛や出産時の姿勢を好きなように変えられます。

④リラックスできる環境
陣痛の痛みの多くは不安や緊張から来ていると言われます。アクティブバースを奨励する病院では、これらの不安や緊張を取り除く為、出産時にはパートナーのサポートが重要で、病院の介入は最低限に止めておこうという姿勢を取っています。モニターを付けている為、胎児に何かあればすぐに医師がかけつける体制はできているものの、本格的な分娩になるまではほとんど妊婦と立会人(1名のみ)だけで過ごします。

⑤産後の母子のケア
マドリッドの場合、普通の病院でもしっかり母子のケアをしてくれますし、ほとんどの病院では生まれて間もない赤ちゃんの検診を分娩室で全て行うようにできています。これに加え、アクティブバースを奨励する病院では、誕生直後の赤ん坊の扱い方がその後の成長にも大きく影響すると考えており、誕生後最初の3−4時間は(問題がない限り)ずっと赤ん坊を母親の体にぴったりくっつけたままにしてくれ、立会人以外誰も入れない場所でゆっくり過ごせるようにしてくれます。今回の私たちの出産では、何と、娘の身長や体重の測定もこの3−4時間が過ぎてから、ワクチン接種も娘が私の体の上に乗っている状態で行いました。この休憩室から病室までの移動も、他の病院では赤ん坊はベビーベッドで運ばれますが、娘は私の体に乗ったままでした。こういう細かい部分も含め、母子の絆を深めようという姿勢が見えて嬉しかったです。

誕生直後の娘。初日はとにかく寝てばかりでした。

誕生直後の娘。初日はとにかく寝てばかりでした。

生まれそうでなかなか生まれなかった次女ですが、4月13日の夜中の1時に破水し、そこからあれよあれよと言う間に陣痛の間隔が2分弱となり、病院に着いた午前2時過ぎにはほとんど歩けなくなっていました。何とか救急病院の受付に行ったものの、そこから案内されても先に進めなくなり、床に突っ伏してしまいました。これには夫もかなり焦ったようで、交渉の末車椅子を持ってきてもらいました。そこからは本当にあっという間で、産科に到着。すでに子宮口も全開と分かり、直接分娩室に連れて行かれ、そこから数分後の2時25分に希良が誕生となりました。今回は待ちわびた娘の誕生だったせいか、アクティブバースを選んだせいか、それとも第三子ということで母性が育っていたせいか分かりませんが、娘が生まれた時には本当に感動しました。長女と長男が生まれた時は、嬉しいという気持ちよりホッとして体の力が抜けるという感じでしたが、今回は、生まれたばかりの娘を腕に抱き、夫と三人でゆっくり過ごす時間が本当に幸せで、娘が無事に生まれてきてくれたことが嬉しく、第三子にして初めて涙が出てきました。

退院時。娘はスリングでしっかり夫の「懐」に。

退院時。娘はスリングでしっかり夫の「懐」に。

今回私たちにとって大きな違いは、娘の誕生までの全てを夫と私だけで切り抜けてきたことだと思います。今までは知らないこともあり、「こんなものなのかなぁ・・・」と、周りに言われるがままにしてきた部分もありました。また、義理の両親のサポートを受けて感謝しつつも、感謝するあまり私自身が遠慮し、必要以上に子供との接触を義理の両親にばかり譲り、自分は疲れていても休まずに家事を続けていたこともありましたし、夫はいつも以上に休んでいたので普段のペースが崩れ、私自身がストレスを感じたこともありました。今回は、私が授乳その他で動けない時の仕事を夫がカバーしてくれ、私自身彼のサポートを非常に頼もしく思いましたし、夫も私の普段の家事や育児にさらに理解を示してくれるようになりました。夫婦の絆が深まったと改めて思います。

かおりも健斗も希良の誕生を喜んでくれているようです。何よりも、二人がある程度大きくなって一緒に遊んだりできるようになったので、健斗が生まれた時のように、2歳のかおりの相手ができなかった時のように申し訳ないと思うこともありませんでした。

我が家恒例の赤ちゃんの初風呂。家族皆でお風呂にいれるようにしています。息子はそこまで興味なしでしたが(笑)

我が家恒例の赤ちゃんの初風呂。家族皆でお風呂にいれるようにしています。息子はそこまで興味なしでしたが(笑)

妹の誕生に大喜びのかおりと、それでも我が道を行く健斗。ここでも男の子と女の子の違いが明確に?!

妹の誕生に大喜びのかおりと、それでも我が道を行く健斗。ここでも男の子と女の子の違いが明確に?!

また、今回が最後の子供だと思うと何でも愛おしく感じると言えばいいでしょうか。すくすくと育っていることが本当に嬉しく、娘がただいてくれるだけで本当に幸せだと感じます。そして、改めてかおりと健斗に対してどんどん多くを期待している自分に気づいたりします。「這えば立て 立てば歩けの親心」といいますが、本来は子供がいてくれること自体に感謝の念が湧いてくるべきなんでしょうね。赤ちゃんの登場によって改めて気づかされました。

偶然ですが、希良の誕生の3日後に米国に住む夫と私の友人がマドリッドを訪れ、14年ぶりに彼と再会することができました。まだ退院直後で私は大したことはできませんでしたが、夫が頑張ってブランチを準備してくれました。夫婦はチームワークだと思った日でした。

アメリカから来た友人と。大学時代(彼は大学院生でしたが)からの付き合いです。

アメリカから来た友人と。大学時代(彼は大学院生でしたが)からの付き合いです。

そして、希良の誕生を理由に我が家でお茶会(という名前で夜中まで続く集まり)も開催。かおりの友人家族と色々な話をすることができ、希良は皆の腕から腕へ…。皆に愛され祝福され、私も嬉しく感じました。そして、かおりの友達も皆で夜遅くまで遊べて大喜びでした。

子供達のおやつの様子。おやつもそこそこに皆で遊んでいましたが。

子供達のおやつの様子。おやつもそこそこに皆で遊んでいましたが。

これだけ大人もいるので、私は座ったまま落ち着いて希良の相手ができました。

これだけ大人もいるので、私は座ったまま落ち着いて希良の相手ができました。

パーティーは続きます。

パーティーは続きます。

おまけ。皆からもらったいくつかの誕生祝のプレゼントをご紹介です。

カカオ・サンパカのトリュフセット。スペイン王国御用達らしいですが、日本での方が知名度が高いと思います。

カカオ・サンパカのトリュフセット。スペイン王国御用達らしいですが、日本での方が知名度が高いと思います。

春夏用のワンピースとジャケットのセットと、アヒルの形になるタオル。タオルはZARA HOMEのものです。

春夏用のワンピースとジャケットのセットと、アヒルの形になるタオル。タオルはZARA HOMEのものです。

シンプルな白いシャツとピンクのレギンス。ZARAの洋服ですが、同じデザインの服が10歳位まであるので、姉妹でお揃いなども簡単にできます。

シンプルな白いシャツとピンクのレギンス。ZARAの洋服ですが、同じデザインの服が10歳位まであるので、姉妹でお揃いなども簡単にできます。

娘が皆に愛されて成長しますように。

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5 Comments

  1. Harukiさん、ご出産おめでとうございます!
    バルセロナからもお祝いの気持ちを送ります。

    子ども服等、ご自分のセンスで徐々にスペインのセンスを取り入れられて、素敵だなと思います。
    希良さんという名前もくっきりと聡明な感じがして良いですね。

    カカオサンパカはバルセロナに本店があるそうですが、確かにバルセロナの人にはあまり知られていません。
    私も日本にいた頃に母の友人におすそ分けして頂いたことがきっかけで知りました。
    チョコレートはケーキやパンと一緒についでに売られていることが多いからか、わざわざ専門店に買いにいく発想が無いのかもしれませんね。
    日本人にはこってりしていますが、チュロスをホットチョコレートに浸して食べるのも美味しいですよね。

    • > nanacolocaさん、

      メッセージをありがとうございます。

      スペインに来てから、洋服の好みは本当に大きく変わったと思います。
      それでも、やはりシンプルですっきりしたものが好きですね。

      希良という名前は、「かおり」「健斗」の後だったので、”Ka Ke Ki Ko Ku”の順番で「き」で始まるもの・・・という条件で出てきました(笑)
      かなり候補が絞られた後、「きら」という発音が気に入って決めました。
      ちなみに、nanacolocaさんならお分かりいただけるかと思いますが、最初の候補は”Kira Estrella”でした(笑)
      (最終的には、夫の曽祖母の名前である”Andrea”になりましたが。)

      カカオサンパカはバルセロナが発祥の地なんですね!知りませんでした。
      スペインのチョコレートといえば、こちらではValorが有名ですが、個人的にはかなり甘い感じがして、やはりカカオサンパカの方が好きです。
      バルセロナは美味しいお菓子がいっぱいあっていいですよね⭐️

      • “Kira Estrella”とっても良いですね!(笑)

        私もスペインの市販のチョコレート、全体的に甘すぎると感じます。
        粒も大きいので1つを食べきるのが精いっぱいで、どれだけ砂糖が入っているのだろうと思うと心臓がバクバクする程。
        バルセロナの美味しいお菓子、まだあまり知らないのですが、これから探して行こうと思います。(^^)
        また、もしもお薦めがありましたら教えて下さい。

  2. 第三子出産おめでとうございます!
    希良ちゃんかわいいお名前ね。スクスクと育ちます様に…
    これから毎日今まで以上にバタバタな毎日だと思いますが、充実した毎日てありますように!

    • Nenaさん、

      メッセージありがとうございます。
      そして、お返事が遅くなってしまってすみません。
      本当にバタバタでブログの更新ができないのが残念ですが…育児休暇を満喫しています。
      また後日更新してお知らせしますね。