Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

感動の再会@マヨルカ

J. Torrents Lladóの自宅兼美術館の入口。

J. Torrents Lladóの自宅兼美術館の入口。

私が一番好きな画家の一人、ホアキン・トレンツ・リャド(Joaquin Torrents Lladó)。彼との出会いは1993年、日本での展覧会があった時まで遡ります。急逝したスペインの画家として知られていたものの、日本での彼の情報は非常に少なく、家にあった画集が彼の作品との唯一の接点でした。

スペインに来てから、折りに触れて彼の話を出す事がありましたが、スペイン人で彼のことを知っている人は誰も周りにいなかった為、次第に私自身彼の作品を探すことをやめてしまいました。また、スペインに来てから様々な画家の作品を目にし、当時鮮やかに焼き付いた彼の作品の印象が少しずつ薄れていったのも事実です。

出会いは偶然訪れました。夫と娘と一緒にマヨルカを散策していると、いきなり”Casa Museu Torrents Lladó(Torrents Lladóの自宅及び美術館)”と書いてある幕がかかった建物があるではないですか。この再会に、思わず鳥肌が立ってしまいました。

美術館の中には、Torrents Lladóの子供時代の写真も置いてありました。

美術館の中には、Torrents Lladóの子供時代の写真も置いてありました。

トレンツ・リャドは1946年に生まれ、1993年に40代の若さで急逝しました。10歳で美術学校で絵画の勉強を始め、1963年に美術学校を卒業し、奨学金をもらった後、1964年よりマヨルカ島で絵画と演劇に打ち込みます。1971年より展覧会をスペイン内外で開始し、その後は彼の並外れた肖像画の技術が評価され、絵画一本に集中するようになります。彼に肖像画を依頼した人の中には、スウェーデン王室、デンマーク王室、スペイン王室、当時のブラジルの大統領、ケネディー家、モナコ王室等の人々も含まれ、改めて彼の絵が高く評価されていたことが分かります。

彼の自宅兼美術館の入口には、93年に開かれた日本での展覧会のポスターが貼ってありました。その暗い絵の中に光が射すように描かれた顔の印象の深さに、改めて彼の類いまれなる才能の一部を見た気がしました。

建物の中に入ると、サロン兼アトリエの部分にはグランドピアノが置かれ、録音された音楽が流れていました。その曲のほとんどは私が昔習ったものばかりで、改めて昔の時代にタイムスリップしたようでした。そして、そこに置かれた絵の数々・・・。本当に感動的な再会でした。

アトリエの中。木目の床と天井まで届く鏡の壁。その中に、昔見た絵の数々がありました。

アトリエの中。木目の床と天井まで届く鏡の壁。その中に、昔見た絵の数々がありました。

落ち着いた色調の家に、暗いながらも輝きのある彼の絵がよく合っていました。

落ち着いた色調の家に、暗いながらも輝きのある彼の絵がよく合っていました。

落ち着きのある素敵なサロンでした。

落ち着きのある素敵なサロンでした。

昔から彼の作品として覚えていたもののほとんどは油絵でしたが、今回は彼の素晴らしい水彩画を何点も見る事ができ、さらにマヨルカの自然の美しさを描き出した絵を見て、この土地の素晴らしさを再度実感することができました。私以外にこの場を訪れている人は一人のみで、この感動の余韻に思いきり浸ったひと時でした。

マヨルカの美しさを描いた風景画も沢山ありました。

マヨルカの美しさを描いた風景画も沢山ありました。

この水面に光る夕陽の美しさは格別でした。

この水面に光る夕陽の美しさは格別でした。

日本では今ではもうあまり知られていないかも知れませんが、彼の作品を未だに扱っているアトリエもあるようです。もし興味があれば、是非見てみて下さいね。マヨルカに旅行の際には、是非この場所を訪ねてみて下さい。

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