Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

バルセロナ Casa Batlló

Casa Batlló外観

Casa Batlló外観

マドリッドからバルセロナまではAVEで2時間半程度。遠いようでなかなか行けなかったバルセロナにやっと行くことができました。今回はバルセロナの建築物の中でも特に目を引いたバトリョ邸(Casa Batlló)についてです。

バルセロナと言えばやっぱりガウディ。美しい街に独創性のあるガウディの建築物が点在しており、街に彩りを添えています。その中でも特に感嘆したのがグエル公園(Parc Güell)とバトリョ邸でした。

ガウディについて、名前くらいは聞いたことがある人が多いと思いますが、彼の作品は自然からインスピレーションを得たものが多く、建物の多くの部分に曲線が使われています。それは平面上に図として表現することは難しいものばかりで、ガウディは細部まで模型を作り、それに合わせて建築が行われたそうです。

彼の作品の中でも特に有名なサグラダ・ファミリア教会(Sagrada Familia: 聖家族)はバルセロナのシンボル的存在ですし、グエル公園やカサ・ミラはユネスコの世界遺産に登録されています。

Sagrada Familia

Sagrada Familia

どうしてそこまでガウディの建築が受け入れられたのでしょうか?それは、彼の独創的なスタイルや仔細に渡る建築術・美術の研究の他、彼がその時代の流れにうまく乗ったというのがあります。まず、19世紀の終わりには新ゴシック様式と呼ばれる新しいスタイルが流行り始めますが、ちょうどこの時期に彼はモダニズムとも言える、自然からヒントを得た新しいデザインを世に広めることに成功します。人々が新しいものを欲している時代、何世紀もの秩序正しい伝統的建築物から脱却しようとする時代とマッチしたわけです。新しくありながら優美で動きのあるデザインは独創的で同時に魅力的、人々を捉えて離さなかったのでしょう。

 

トレンカディスで有名なグエル公園のシンボルとも言えるドラゴン。

トレンカディスで有名なグエル公園のシンボルとも言えるドラゴン。

また、ガウディの作品の多くに登場するタイルも彼のデザインに彩りを添えています。有名なのはトレンカディス(trencadís)と呼ばれているタイルで、これは何と使われなくなった廃材同様の小さなタイルのことを指します。このような小さなタイルのお陰で曲線の多いガウディの建築物にも張り付けることができ、その色の混ざり具合やタイルを張った建築物は芸術作品の域にまで高められたわけです。それが廃材の再利用というのは、今の環境問題を考える上でも参考になりますね。この他にも、使われなくなったタイルを混ぜてタイルの上につけることによって波のようなうねりを出している部分もあります。まさに、「ガウディ建築は現代建築」と呼ぶに相応しいですね。

 

バトリョ邸のパティオに面した壁。タイルの一部に廃材を利用したものが上乗せされていて、これが独特の雰囲気を作り出していました。

バトリョ邸のパティオに面した壁。タイルの一部に廃材を利用したものが上乗せされていて、これが独特の雰囲気を作り出しています。

彼が受け入れられたもう一つの理由は、彼には常に資金を提供するパトロンがいたことです。このパトロンのお陰で彼はたくさんの建築物を設計することができ、このお陰で彼のデザインを人々が知ることになったというのがあります。最初の彼らの資金援助がなければ、ガウディはこれほど沢山の建物を設計することはできませんでした。

 

バトリョ邸の話に戻ります。この建物はガウディのパトロンであったジョゼップ・バトリョ(Josep Batlló)の為に改装という形で建てられました。外装にはバルセロナのモンジュイックの丘から取れる砂石が使われ、柱は骨の形からインスピレーションを得てデザインされています。ガウディはもとの家のバルコニーの手すりをそのまま残し、それに合う形で波のうねりのような壁、円形で作られた様々な色の窓ガラスを設置しました。この壁も有名なトレンカディスです。

サロンに続くドア。これも曲線です。

サロンに続くドア。これも曲線です。

内部もとてもオリジナリティがあり、ドアは四角くないだけでなく、うねった形をしています。天井も中央から放射状にうねる形で線が広がっており、台風の目を連想させました。また、ガウディのすごさはそれだけではありません。自然界にあるものの動きや形を模しているというだけでなく、機能性も追求したという所にまた「先見の明」を感じます。例えば、屋上近くに洗濯部屋があります。昔の家にはよくあったものですが、この部屋はじめじめしてカビ臭くなることが多かったのです。ところが、ガウディは風の流れも考慮に入れて通気の良い部屋、熱が効率的に回る部屋を設計した為、そういう問題がバトリョ邸にはなかったと言われています。こういう細部まで考えられた設計のお陰で、21世紀になった現在でも、19〜20世紀のガウディ建築が「現代建築」と捉えられているんですね。

 

タイルまで可愛らしくてモダンです。

タイルまで可愛らしくてモダンです。


バトリョ邸の最上階から見たバルセロナ市街は車や人が多くて忙しい感じがしましたが、色々な美しい建物が至る所に見られ、改めてバルセロナの良さを感じずにはいられませんでした。マドリッドよりヨーロッパ的な雰囲気が漂う街ですが、同時に独自の文化が色濃く見られる街でもありました。

ちなみにこのバトリョ邸、入館は何と16ユーロ!高いですが、オーディオガイドもついてこのお値段、一度は行ってみる価値があると思います。

洗濯部屋近くの階段。形が斬新であるだけでなく、通気性も考えられていたそうです。

洗濯部屋近くの階段。形が斬新であるだけでなく、通気性も考えられていたそうです。

屋上から見えるバトリョ邸の塔と眼下のバルセロナ市街。

屋上から見えるバトリョ邸の塔と眼下のバルセロナ市街。

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2 Comments

  1. はるきちゃん、遊びにきました☆
    バトリョ邸、建物の写真が色鮮やかで思わずクリック。
    素敵だね!
    はるきちゃんの解説がめちゃくちゃ充実していてびっくり。
    感動ちょこっと共有させてもらった感じ・ありがとう~
    またときどきチェックさせてもらうね^O^

    • >39ちゃん

      どうもありがとう。39ちゃんからお褒めの言葉をもらえると私も嬉しいです☆
      昔から奇妙なことで興味を持っていたガウディ建築、こうして見ると「先人の知識を共有できる」ということがただたただありがたく思われます。

      また、いつでも遊びに来てね♪