Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

音楽会

 

国立音楽堂の入口

国立音楽堂の入口

マドリッドは芸術が至る所にあるという話は以前しましたが、今回は時々行く国立音楽堂(Auditorio Nacional)のご紹介です。この音楽堂は夫が小さい頃に住んでいた家のすぐ目の前に建てられたもので、夫は建設中の資材置き場で遊んでいたとか。(ちょっと危険な感じがするけれど、それがまたスペインらしいというか何というか。。。)

 
そこではいつも何かの催し物がやっているんですが、私達がよく行くのはやっぱりオーケストラのコンサートです。演奏はスペイン国立オーケストラで、有名な演奏家もよく招待していますが、馴染みのある素敵な曲と新しい曲をプログラムに入れてあり、毎週金曜夜〜日曜昼まで同じ演目となっています。私達は好きな曲があれば聴くという感じですが、行く度に全く知らない作曲家の演奏等も聴けてなかなか洒落てます。

演目は3ヶ月先くらいまでネットで見られるようになっており、そこで席の場所も含めて予約&購入し、近くのATMでチケットを買ったクレジットカードを入れると発券されるという仕組み。値段はかなり良心的。高い席でも25ユーロ程度。3500円位でしょうか。そして、一番安い席は手数料も含めて10ユーロ弱。1500円もしません。この一番安い席というのがまたまた面白くて、何と普段は合唱団が立つ場所を開放して座席にするというものなんです。なので、指揮者の顔や他の観客が見える席位置なので、新たなオーケストラの魅力を発見できます。

 

指揮者を前から見る形の座席から

指揮者を前から見る形の座席から

ちなみに、今回はこの席でオーケストラを聴いたんですが、ちょっと打楽器や金管楽器が華やかな曲だったこともあり、そこまでバランスよく聞こえなかったのが残念。その反面、打楽器演奏者の様子を近くで見ることができ、打楽器好きの私にとっては特等席でした。

 

この前の演目は、John Coriglianoという人のヴァイオリン協奏曲「赤いバイオリン」と、ベートーヴェンの交響曲第7番です。John Coriglianoの曲は初めてでしたが、どうやら彼は現代音楽の作曲家としてアメリカでは非常に有名な人のようです。映画の為に作曲したことは3回だけですが、すでにオスカー最優秀音楽賞を受賞しているとか。今回の音楽は、カナダの映画「El Violon Rouge (The Red Violin)」の為に作られた曲で、メロディーとヴァイオリンの旋律の混ざり方が絶妙でした。

演奏会にはアメリカの有名なヴァイオリニストのJoshua Bellという青年が招かれたのですが、彼の技術とヴァイオリン(ストラディバリ!)の美しい音色も相まってとても素晴らしい作品に仕上がっていました。打楽器も非常に魅力的で、ティンパニやチャイム、シンバルといった一般的な打楽器から、ラトル(ガタガタ音を立てるもの)、かなり珍しいキハーダ(ラテン楽器)等を合わせた構成となっていて、楽器の取り合わせも現代的だと実感しました。

ベートーヴェンは言わずもがなですが、この交響曲第7番は「のだめカンタービレ」でも有名な、テーマ曲の一つになっているものです。この曲は1812年に作曲され、ナポレオン戦争の一環である「ハナウの戦い(オーストリア対フランス)」において傷ついた兵士を慰める慰安コンサートが1813年に開かれた時、初めて演奏されました。オーストリアの兵士の士気はこの演奏によってさらに鼓舞されたと言われています。メロディーは他の交響曲に比べるとかなりゆっくり始まりますし、他のベートーヴェンの作品と比べるとあまり有名ではないですが、とても素晴らしい曲だと思います。

 

打楽器の数々

打楽器の数々

土曜の夕飯の前や日曜の朝に行くコンサートは心が温まる素敵な一時です。そして、そこに向かう着飾った人達、友人と談笑している人達を見ると、音楽という目に見えないものを愛し、友人や家族とこうして音楽に触れることを愛する人達が沢山いること自体に幸せを感じずにはいられません。

 

今マドリッドはクリスマスのムードが至る所に漂っています。そういう中、音楽が街の人にとって不可欠だということを最近とみに感じています。

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9 Comments

  1. ヨーロッパは 芸術の宝庫ですね。
    建築、絵画、音楽、ファッション、時には料理も、、、。
    いたるところに芸術性を感じます。
    日本では、オーケストラの演奏など そう手軽に 聴けるものでは
    ないのでしょうから、
    精一杯 ヨーロッパの芸術を楽しんでください。

  2. >合唱団が立つ場所を開放して座席
    サントリーホールでいうところのオケの後ろですね。
    やはりあそこは音の集まりが悪いのか〜。
    やむなしだけど。
    それにしても日曜の朝でも聴けるなんてうらやましい。
    オケを聴くこともさることながら、
    そこに着飾って行く人たちと空気を共にするのもいいよね。

  3. ◎陳さん
    ありがとうございます。
    本当に芸術の宝庫だと思います
    日本にももちろん芸術はいっぱいあると思いますが、やはり値段が高かったり、ある程度のレベルの演奏となると随分前から予約が必要だったり、楽しむ場所が家からかなり離れていたり・・・と、芸術を日常生活に取り入れるには「努力」が必要なことが多いんですよね。
    それを越えてでも芸術に触れるという人は素晴らしいと思いますが、私なんかは日本ではちょっと芸術から遠ざかっていた気がします
    香港ではどうなんでしょうか?
    また陳さんの日記での香港事情と一緒に教えていただければ嬉しいです♪

  4. ◎ヨッシー
    >やはりあそこは音の集まりが悪いのか〜。
    >やむなしだけど。
    うん。ちょっと音のバランスがイマイチだったよ。
    サントリーホールではあの席は安いのかな??
    >オケを聴くこともさることながら、
    >そこに着飾って行く人たちと空気を共にするのもいいよね。
    うん、清々しい朝のスタートっていう感じがします。
    こっちでは年配の人達はまだ宗教心に厚い人達が多いので、教会の9時のミサの後に11時半からのコンサートに来るという人も多いみたい。
    自分の家族や友人の為にお祈りをして、その後に夫婦で音楽を楽しむっていうのは素敵だよね☆心穏やかになる一時です

  5. コンサートで音楽鑑賞が日常に普通にとけ込んだ生活と言うのは、
    日本にいるとむずかしい感じがするよなぁ・・・なんでだろ?
    もっと気軽に聞けたら良いのにと良く思います。
    日常でクラシックの接点が少ないと、自然足が遠のくもの。
    そういう意味で、前マドリッドに行ったときにあったような、
    町中でオープンに自然に演奏を聴ける感じにならないと、
    日常文化への浸透は難しいのかもね。
    もっとも日本は欧米とは文化圏が異なるから、
    そうなるの日は来ると望むは我侭だと感じますが。

  6. ヨッキィ
    確かに、日本と欧米では文化圏が異なるというのには納得。
    でも、音楽に関わらず文化に触れられるっていうのは人生の満足度の一つの尺度になると私は思うんだよね。
    日本にも昔からの素晴らしい芸術があるわけで、一番重要なのは「有名じゃない音楽家、芸術家のものでも楽しみたいと思う心の余裕と芸術への興味」だと思うなぁ。
    日本では有名な演奏家のものになるとすごーく高いお値段だし、有名な絵画が来るとなると大行列になるし、入場料も高いし。
    とは言え、日本も変わりつつあるので、この調子で美しい物が街にどんどん溢れていってくれたらいいなと思います★

  7. おおおおおっ!!!!!
    ジョシュア・ベル!!!!!ヽ(^o^)丿
    大好きです!!!!!
    CD何枚か持ってます!!!ヽ(^o^)丿
    ヨーヨーマとも共演してますよね!!!
    若い頃は、それはもう美青年で
      ↑
    それか!。。。。。
    さっそく今から聞いてみます

  8. 追伸:
    ジョシュア・ベルの若い頃の映像ですが、まるで映画の一場面のようです。

    前にお話しました、パブロ・カザルスの「鳥の歌」です。

  9. プリンさん
    ジョシュア・ベルをご存知とは、プリンさんは本当にクラシックや美術に造詣が深いですね!!!しかもCDを何枚か持っているなんて!!!
    恐れ入りました
    実は今ちょうどクリスマスパーティーから帰ってきた所なので、曲は今週末にでも聴かせていただきます。また感想書きますね★