Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

野外コンサート

王宮前の広場

王宮前の広場

他のヨーロッパの都市同様、マドリッドでも夏にはたくさんのイベントがあります。マドリッド市ではこれは市をあげての一大イベントで、7月1日から8月終わりまで毎晩のように色々なイベントがあり、無料かかなり安いお値段で見る事ができます。市が一般の人にこれだけ芸術活動を広めているというのが素晴らしいです☆

 さて、観られるものはこんなもの。

  • 踊り

バレエ、フラメンコ、タンゴから現代舞踊まで、ありとあらゆるタイプの踊りの催しが開催されています。中にはジャズとバレエのコラボレーション、シャンソンとフラメンコのコラボレーションといったものも。あとは、中南米のインディオの踊りやアフリカのものも。改めて、スペインの地理的・歴史的経緯を感じずにはいられません。

フラメンコとバレエを組み合わせたものを一度観ましたが、これは本当にすごかった!!フラメンコに合わせる曲って人生の悲哀を歌ったものが多いんですが、これに合わせて踊るには曲の意味を分かっていなくちゃいけないんだなぁ、と実感。あと、フラメンコダンサーって手を上に上げたままステップを踏んだりするせいか、背中の筋肉の引き締まり方がすごいです。背中の開いたドレスを着ている女性の「筋肉美」に釘付けです(笑)

  • 劇・オペラ

劇の中での目玉はやっぱり「ドン・キホーテ」ですね。古典の劇から現代風にアレンジしたものまで様々です。私は本物をしっかり読んだことはありませんが、あの話は「窮屈な社会の中で、自分の見方を持って自分の意見を述べた人の話」だと最近になって気付き、改めて素晴らしい古典だなと感じました。

オペラもいろいろですが、今回は短い時間で開催されるものが多く、例えば「椿姫の一幕」とかそういった感じが多いです。あとは、スペインにはサルスエラ(Zarzuela)という民衆オペラというものがあり、これがまた素晴らしかったです。スペインの色々な場所を舞台にしていたりするので、土地の感じもあり、本当に身近に感じました。

  • 音楽

これは本当に多種多様。クラシック、ジャズ、R&Bといったものから、フラメンコの歌だけのコンサート、和太鼓(もちろん奏者は日本人)、アコーディオン等々、おもしろい催しが目白押し!Diana Krall、ウィーン少年合唱団、Macy Grayだって来たんです。中にはイスラエルに住むイスラエル人とアラブ人の若者の合同コンサートといったものも。こういうのにもちょっと惹かれます★

コンサート会場。幻想的でした。

コンサート会場。幻想的でした。

では、私がこの前行ってすごく気に入ったコンサートのご紹介。このコンサートはテキサス大学ウインドアンサンブルによるもので、メインがアメリカの曲、一部クラシックという構成でした。夜10時開演だったんですが、これは人気のある演目らしく、整理券が6時に配られてそれをもらっての入場です。(無料☆)演奏場所はサバティーニ庭園という王宮のすぐ隣の庭。この野外ステージが素晴らしく、空がほの暗くなってから、王宮を背景に庭園で聴く音楽は格別でした。

 曲目は、有名なものではバーンスタインの”Overture of Candide”、”West Side Storyのメドレー”、ホルストの「惑星」の一部の曲等です。あとはフルートやクラリネットの協奏曲も素敵で、だんだんと暗くなる空、背景に照らされて青白く光る王宮、フルートやクラリネットの柔らかい音色が合わさって、それはそれは幻想的なコンサートでした。軽快な曲もまた素敵で、リズムに乗っているパーカッションの演奏も聴きごたえあり。拍手がいつまでも続き、当初は11時半までの演奏が真夜中まで延ばされ、次から次へと出てくる曲に皆大興奮!指揮者もすごく嬉しそうで、「今までで演奏した場所の中で最高のステージです。どうもありがとう。」と皆に向かって言ってました。

コンサートを後にして。ひっそりと静まり返った中で王宮が荘厳な感じを与えていました。

コンサートを後にして。ひっそりと静まり返った中で王宮が荘厳な感じを与えていました。

知っていても題名が分からない曲がいくつかあり、「また聴きたいけど見つけられない〜〜〜!」という嬉しいフラストレーションを感じつつ、技巧的ではなく真っすぐな若い演奏者の演奏とエネルギーみたいなものを受け、心からコンサートを楽しみました。プロの演奏はもちろん素晴らしいと思いますが、いわゆるプロの演奏ではなくとも演奏者と観客が一体になって音を楽しむ、そういう機会が溢れていることが本当に嬉しかったです。

そうそう、”Overture of Candide”は私がアメリカにいた時にオーケストラで演奏した曲で、その他の曲も含めて懐かしいものばかりで、何だか昔の色々なことが回想されました。当時唯一の留学生だった私をいつも支えてくれ、沢山のチャンスをくれた音楽の先生、一人で孤独を感じた時に響いた音楽の温かさ、オーケストラで指揮の先生に認めてもらえたこと、アメリカの青々とした芝と深い木の匂い、赤紫色の夕焼けと遠くに見える湖の輝き、そんなものがふいにありありと思い出され、悲しいわけでもないのに胸がいっぱいになって涙が出そうになりました。不思議だけど、「あぁ、こういう瞬間の為に私はスペインにいるんだなぁ。」とさえ思っちゃいました。こっちでの生活は山あり谷ありですが、単調ではない充実した日々でもあるみたいです☆

真夜中過ぎにコンサート場を後にし、家にたどり着いたのは1時前。次の日仕事があって辛かったけど、それでもすごく充実した一日でした。夏のスペインは暑いけれど、イベントも多くて10時過ぎまで明るいので、本当に外に出ているだけで幸せになります。こうして宵っ張りの生活習慣は変えられないのでした(笑)

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7 Comments

  1. 夜が明るいと遊びたくなるよね。
    福岡も東京に比べると1時間は日没が遅いので、
    あっというまに8時とかになってしまいます。
    そういえば夏にスペイン旅行に行ったときも日が長かったっけ。
    また行ってみたい……

  2. いいなー。
    青い空!芸術、のんびりした時間。
    私の所には、青い空時々、しかないよ〜。

  3. Goさん
    そうなんです。夜が明るいのは危険です(笑)
    スペインにはいつでもいらして下さいませ。
    でも今は赤ちゃんが可愛い盛りだから、悩ましい限りですね
    ねこぽん
    そう、芸術はやっぱり大事だと思う日々だよー!
    日本の「青い空時々」は変えられないからしかたないね。
    あと、のんびりした時間はそのうち・・・あとちょっとの辛抱さ

  4. 10時まで明るいんだぁ
    どんなだろ。1日が長そうだね
    フラメンコって悲哀の曲が多いの
    情熱的なイメージだから、明るい感じかと思った〜
    それにしてもいろんな文化に触れられてスペイン一つで世界巡りみたいだね
    毎日が非日常みたいでわくわくできそう

  5. あいあい
    1日が長いような気がするんだけど、長い長いと思って油断していると一日の仕事が終わらないのだ・・・
    >毎日が非日常みたいでわくわくできそう
    うん、とりあえず毎日色んなことがあって飽きないよ(笑)
    遊びにおいで〜〜〜

  6. ステキだわ〜〜〜!!!
    素晴らしいわ〜〜〜!!!
    他のヨーロッパの国々は、夏のイベントどうなんでしょう?
    ホントに「夕食後の文化」ですね!
    大人の文化!
    テキサス大学のアンサンブル♪聴けて良かったですね♪
    Harukiさんは、アメリカで何の楽器をなさっていたのですか?
    ピアノですか?ヴァイオリンかな?
    もうお仕事なさっているんですね。体調に気をつけてください

  7. プリンさん
    他のヨーロッパの国もたくさん夏のイベントがあるみたいですよ。
    私が覚えているのでは、スイスに行った時に、大きな固定されたいかだみたいな場所でオーケストラが演奏していたことです。
    ゆったりとした川を泳ぎながら聴いている人もいて、「日本の急な川ではできないことだなぁ。」なんて感心しながら見てしまいました(笑)
    >ホントに「夕食後の文化」ですね!
    そうですね。
    日本の「夕食後はゆっくり休んで眠る」というのも好きなんですが、出かけるのが気軽なのがこっちの良さかも知れませんね
    >Harukiさんは、アメリカで何の楽器をなさっていたのですか?
    ずっと打楽器をやっていたんです。
    オーケストラではティンパニと小太鼓、シロフォン等が多かったですが、吹奏楽をしていた時は本当に何でも屋でした。
    打楽器の良さは「見せる演奏」である部分だと思います(^^)
    >もうお仕事なさっているんですね。体調に気をつけてください
    ありがとうございます☆