Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

サン・フェルミン祭

パンプローナにあるサン・フェルミン祭の銅像

パンプローナにあるサン・フェルミン祭の銅像

サン・フェルミン祭と言ってもピンと来ないかも知れませんが、サン・フェルミンの「牛追い祭」と言うと知っている人もいるのでは?この祭はスペイン北部ナヴァラ県(Navarra)パンプローナ(Pamplona)で毎年7月に開催されるお祭で、パンプローナの守護神である聖フェルミンのお祝いです。(この聖人の日が7月7日。)ヘミングウェイもこの都市に滞在したことがあり、彼の『陽はまた上る』でお祭自体が有名になりました。

ナヴァラ県は16世紀にスペインの一部となりますが、それでも王国として王の自治権が尊重されてきました。1936~39年のスペイン内戦中はフランコを支持した王侯派(Carlista)が多かった為、その後も色々な面で優遇され、スペインの県の中では一番裕福な県の一つです。さらにこの県は日本にキリスト教を伝えたことで知られるフランシスコ・ザビエルの出身地!今はザビエルが到着した山口県と交流があるらしく、山口市とパンプローナは姉妹都市となっています☆市民の憩いの場として「山口公園」なる公園もありました。

山口公園。噴水の水しぶきでビショビショでしたが、東屋が風情がありました。

山口公園。噴水の水しぶきでビショビショでしたが、東屋が風情がありました。

ちなみに、ナヴァラ県はバスク州に隣接しており、そのナヴァラ県の首都であるパンプローナは歴史的にはバスク地方の首都だったということで、至るところにバスクの文化を垣間見ることができます。通りの名前や広告等は全てスペイン語とバスク語並記。例えば「大通り」はスペイン語では”Avenida”、バスク語では”Etorbide”、「子供」はスペイン語では”Niño(ニーニョ)”、バスク語では”Txetxe(チェチェ)”・・・。やっぱり全く違います。

サン・フェルミン祭の話に戻ります。

人でごった返す大通り。

人でごった返す大通り。

サン・フェルミン祭は7月6日の正午から始まり、7日から牛追い祭が始まります。皆白いシャツに赤いスカーフを着けます。お祭自体は14日まで1週間以上続くため、街中観光客でごった返し、お酒の匂いがプンプンしていて、日本のお祭よりかなり過激な印象を受けました。

6日の正午には市庁舎前に多くの人が集まり、「これから祭を開始します!」という宣言と共に、Chupinazoという催しが始まります。シャンペンやワインが割られ、皆がお酒を浴びせ合うというものすごいものです。飲み物だけでなく、生卵やマスタード、ケチャップを掛け合う人や、バルコニーから下に向かってバケツ一杯の水をぶちまける人もいるので、本当に壮絶!毎年割れたビンで怪我をする人、火薬で火傷をする人もいるみたいです。

そして、7日から14日まで毎朝8時に牛追いが始まります。牛はスペインで有名な牛舎が日替わりで何頭か手配するようになっていて、10頭位の牛を2回に分けて囲いから放ちます。その牛を囲いから闘牛場まで追う(というか追われる?)ので牛追い祭と呼ばれます。最終的には闘牛場で闘牛士が牛と闘って終わりとなりますが、この「牛追い」の段階で怪我をする人、中には死亡する人が毎年後を絶ちません。

走る牛の集団は本当に迫力があります。

走る牛の集団は本当に迫力があります。この写真のサイトはこちら。

一応通りに沿って柵が建てられていますが、全部きちんと建てられているわけではないですし、荒い柵の場所もあるので結構危険です。しかも大量の観光客が押し寄せて道路は満杯状態。観光中に押されて道路に出てしまい、牛に踏まれたケースもあるとか・・・。それでも毎年続くのがスペインの凄い所・・・。

サン・フェルミン祭ではこの牛追い以外にも、cabezudoと呼ばれる頭でっかちの人形が通りを練り歩き、持っている綿のボールで人の頭を叩いてまわったり(幸運が来るらしいです)、giganteと呼ばれる4メートルくらいの巨大な人形が回転して通りを進んだり、聖フェルミンの為のお神輿が通りを練り歩いたり、面白いものが目白押しです。cabezudoがすごい勢いで子供の頭をぶっていたのにはびっくりしました!

Cabezudoという頭でっかちの人形が追いかけてきます!

Cabezudoという頭でっかちの人形が追いかけてきます!

私が特に気に入ったのは、大きな広場で見たバスクの民族舞踊です。色とりどりの衣装をつけた女性や足に鈴をつけた男性が、剣や棒、長いリボン等を使いつつ複雑なステップを踏んで踊っている様子は圧巻でした。

実は聖フェルミンと牛は何も関係ありません。強いて言えば、彼に洗礼を施した人の師匠が最後殉教した時に、雄牛に足をくくりつけて引きずられた・・・というのがあるらしいですが。これは、13世紀頃から毎年6月下旬に開かれた市が発展し、自然と来る人を楽しませる為にと闘牛が開催され、さらに「無傷で牛を闘牛場まで追うことができる=聖フェルミンのご加護があった」という風になったようです。

バスク地方の民族舞踊。色とりどりの服を着た女性がステップを踏んでいて、スペインというよりはスイスやフランスに似ていると感じました。

バスク地方の民族舞踊。色とりどりの服を着た女性がステップを踏んでいて、スペインというよりはスイスやフランスに似ていると感じました。

私達は今回は最初の部分しか観られませんでしたが、それでもお祭に参加した人達と一緒に盛り上がることができ、皆と同じように白いTシャツと赤いバンダナを身に付けて街中を歩き回り、人々の熱気を感じつつ美味しいバスク料理を食べる事ができ、本当に楽しく過ごしました。

お祭好きの人、どうぞスペインへ♪

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12 Comments

  1. たっ、楽しそおぉおお!
    激しく参加希望です!
    牛追いで追われて殺された牛は最終的に食べられるの?
    トマト祭りといい、楽しそうな国だなあ!

  2. これ、いつもニュースで見てて、行きたいんだよねー
    街中で牛が放し飼いって時点で日本ではありえん!
    岸和田のだんじり祭りも死亡者続出やけど、
    だんじりは勝手に走ったりしないし。
    ちなみに、福岡は山笠期間に入って、
    博多っ子たちは何やら興奮モードです。

  3. あーや
    どうぞどうぞ!
    来年も参加しようと思っているので、よければ是非来て下さいな♪
    >牛追いで追われて殺された牛は最終的に食べられるの?
    そうです。
    普通は闘牛場の外に解体場所があるらしく、そこで牛が解体されてそれから肉屋に行くとか。
    スペイン人もあまり知らない情報ですよ
    トマト祭りはバレンシア地方です。
    これでも死者が出るって聞いたんですが、どうして死ぬのか理解できませぬ。。。
    Goさん
    岸和田のだんじり祭りって面白そうですね!
    何だかんだ言って日本とスペインには色々な共通点がある気がしてきます
    >ちなみに、福岡は山笠期間に入って、
    >博多っ子たちは何やら興奮モードです。
    お、Goさんも踊るんですか?
    またその様子を教えて下さい★

  4. 毎年ニュースで流れる牛追い(追われ?)祭がサンフェルミンというのですね!
    こわいけれど見てみたいです、お人形さんも不思議。
    (異国のお祭りって理解を越えたユニークさがありますね
    きっと日本のお祭りも不思議一杯にみえるのでしょうね)

  5. 牛追い祭、スペイン語の授業で少し話をきいた記憶がありますが
    臨場感あふれるHarukiさんの日記を読んでいると…行ってみたい〜!という衝動に駆られます☆
    山口には「サビエル(多分「ザ」ではなく。)高校」という
    女子校があります。
    私の友達も何人か通ってました。
    と、少しだけスペインを近くに感じてみました(笑)
    Harukiさんの日記のお陰で、スペイン各地に行きたい場所が出来ました♪
    一度にまわれるか心配です(笑)

  6. ちかこちゃん
    そうなの!
    でも、正確には「サンフェルミン>牛追い祭り」で、サンフェルミンにはその他闘牛、民族舞踊、パレード等々が入ります。
    1週間もお祭が続くから、その後の街はすごく汚れているという話だけどね・・・
    アンナさん
    山口はやっぱりザビエルとつながっているんですねぇ。納得
    ちなみにザビエルはスペイン語では「Xavier」と書くんだけど、これがカステヤーノ語では「ハビエル」(といっても今ではJavierが一般的だけど)、カタルーニャ語やガリシア語、ポルトガル語では「シャビエル」・・・となると、「ザ」ってどこからきたんでしょうね
    日記がスペイン(今はブラジル・ポルトガルかしら
    )好きのアンナさんのお役に立っているようで、私もとても嬉しいです☆
    是非遊びに来て下さいね♪

  7. うーん。ますます「ザ」の出所が気になります(笑)
    ブラジル、ポルトガルにも惹かれてきましたが
    行きたい国ランキングではスペインが不動の一位です☆
    実はHarukiさんがいらっしゃるから♪という理由もあります(笑)
    その時はお相手下さい(^O^)

  8. アンナさん
    はい、相手喜んでさせていただきます!!
    というか、私の相手をしてくれるなんて感激(笑)
    色々なバルで食べ歩きしましょうね

  9. おおっ!
    トマト祭り(もありましたよね?違う?)と言い、この牛追い祭りと言い、サッカー(祭りじゃない?)と言い、情熱の国というキャッチフレーズどおりの国スペイン
    ザビエルってバスク人かと思ってましたが、国境線が移動してるんですね。踊りもゴチソウも楽しそう&オイシソウ♪
    ザビエルが中国の上川島(だったかな?)で亡くなる時の「最後の祈り」の言葉が、生まれ故郷のバスク語だったのではないかと言われているんです。名前はシャビエルって言うんでしょうかねーーーー。
    ↑のかたも「岸和田ダンジリ祭り」っておっしゃってましたけど、関西人のわたしもそう思いました。

  10. プリンさん
    トマト祭りも一度行きたいお祭の一つです。
    あれはバレンシア地方らしいですが、他にも面白いお祭がいっぱいですよ!
    >ザビエルってバスク人かと思ってましたが、国境線が移動してるんですね。
    あ、でもバスク人である可能性は高いですよ。
    パンプローナがバスクの一部だったのもありますが、ナバラ県にはバスク人がたくさんいますし、バスクの文化がきちんと保存されている印象を受けました。
    でも、あの「バスク国家」とよく呼ばれているアイデンティティは、フランコ独裁政権下で抑圧されている時に作られたメンタリティと言われていて、実際昔からバスクがそこまで違っていた・・・ということはなかったみたいです。
    この辺り、探ってみると結構面白いですよ
    岸和田だんじり祭り、いつか行ってみたいです☆

  11. やっぱりこれだったね。
    初耳の地名ばっかりだったけど、
    パンプローナだけはなんとか覚えたので。
    今、テレビで、これに参加したっていうのをやってて。
    バラエティー番組だけど、
    それでもちゃんと牛追いに体を張って参加してました。
    目立つ格好(といっても普通の日本のお祭りの格好だけど)してたら
    TVEにも出ちゃったみたいよ。
    祭りの2日目だったそうです。
    本人を追いつつ、牛も追いつつで、
    映像はなかなかの臨場感。
    あれはすごいねぇ。
    日本では祭りなんて行きたいとは思わないけど、
    あれなら行ってみたいなぁと思いました。

  12. ヨッシー
    スペイン中のテレビ会社が色んな場所を陣取って撮影していて、本当に人気なお祭だということを実感したよ☆
    そういえば、パンプローナはラジオスペイン語講座でも出て来たことがあったよ。
    子供達の歌で”1月1日、2月2日、3月3日、4月4日、5月5日、6月6日、7月7日サン・フェルミン。パンプローナに皆で行かなくちゃ、行かなくちゃ♪”という歌。
    それを聴いていた頃は「この日付の部分が速いなぁ。。。」という感じだったんだけど。メインはパンプローナだというのに(笑)
    お祭には世界各国から沢山の人が集まるよ。
    日本人もそのうち増えていくかしら
    でも、日本のお祭より過激な部分もある上1週間連続なので、ある程度耐性がないと辛いかもねぇ。
    でも、一度は行ってみると楽しいと思うよ