Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

新婚旅行 5.浜松

龍潭寺の庭園

龍潭寺の庭園

私達の日本滞在も佳境に入ってきました。6月19日~20日は、念願の親戚訪問のために静岡県の浜松市に。

私が小さい頃は、夏休みと言うと父方・母方両方の祖父母が住んでいる静岡によく行ったものです。父方の実家である焼津市では魚釣りや昆虫取りをし、美味しい魚料理に舌鼓をうち、夜には蛙の大合唱が聞こえる田んぼの畦道を歩きながら花火を見に行ったりしました。孫を迎えるとにこにこしていた祖母のことが今でも懐かしく思い出されます。母方の祖父母は浜松に住んでおり、その辺りに母の兄弟が4人も集まっていたこともあって、いつも賑やかな集まりでした。伯父や伯母がいつも面白い企画を考えてくれ、水彩画を習ったりお琴を弾いてみたり、手芸や川遊び、牧場見学・・・と、本当に楽しい思い出がいっぱいです。高校・大学時代も伯父・伯母とはずっと交流が続き、従兄弟が夫々独立した今でも、浜松は行く度にホッとする私の第二の故郷です。(第二の故郷がいっぱいあるような気もしますが・・・笑)

親戚の皆と一緒に。久々の団らんで話に花が咲きました。

親戚の皆と一緒に。久々の団らんで話に花が咲きました。

今回はもちろん初めての夫と一緒の親戚訪問です。伯父がホテルを手配してくれ、少し休んでから皆でロビーで待ち合わせ。久々に会う伯父や伯母は皆元気そうで、そして皆が夫を温かく迎えてくれ、本当に感謝で一杯になりました。なぜか夫も日本語を沢山話し、「英語で話しかけよう!」と決意していた伯父はちょっと拍子抜けしたとか。でも、夫が頑張って色々と日本語で話してくれたお陰で、親戚も夫を随分身近に感じてくれたようで、それがとても嬉しかったです。美味しい薬膳の中華料理をご馳走になり、スペインのこと、親戚のこと等を色々と話し、あっと言う間に時間が過ぎて行きました。

母の弟にあたる叔父は04年の冬に急逝したのですが、その奥さんにあたる叔母もわざわざ遠い所から来てくれ、本当に皆を訪問して良かったと思いました。沢山ご馳走になった上、お祝いもいただいて恐縮でしたが、今も変わらず優しい親戚の皆に会え、素敵なひと時を過ごすことができました。

龍潭寺と伯父。

龍潭寺と伯父。

次の日は、伯父1人、伯母2人と一緒に浜松観光です。まずは浜松市井伊谷にある龍潭寺(りょうたんじ)という禅寺に。近くを川が流れ、歴史的にも水と深い関係があると言われているこの地域ですが、「井伊」という名前でも分かるように、実はあの井伊直弼で有名な井伊家とゆかりの深いお寺なのです。(知りませんでしたが、井伊家は藤原鎌足の後裔なんですね!)
井伊家は保元の乱では源義朝に、鎌倉時代には源頼朝に仕えた名家で、さらに今川氏に仕えて桶狭間で戦士した井伊家の当主の戒名より、このお寺の名前が龍潭寺となります。戦国時代には武勲を立てた井伊直政が「井伊の赤鬼」と呼ばれ、その後徳川家の四天王の一人にまで出世します。そして、開国を決意した井伊直弼については皆さんもよくご存知のことと思います。

このお寺は733年に行基が開創したと言われているそうですが、その後室町時代に禅寺となり今に至ります。

このお寺の静かな佇まい、しっかりとして落ち着いた造りの本堂、一面の障子を開けると目に飛び込む緑の美しさ・・・どれもが日本の美と呼ぶのに相応しいものでした。そして、何よりも感動したのが本堂の裏に広がる庭園の美しさです。緑と石が見事に組み合わさり、滝や渓谷が表現されている様子はまさに芸術品です。話によると、この庭園には守護石、仁王石、礼拝石と呼ばれる石がそれぞれあるそうで、石の配置や形にも意味があることを知りました。更に池は「心」の形をした心字池。本当に奥が深いなぁと感じました。

やっぱり浜松の鰻は最高!

やっぱり浜松の鰻は最高!

お寺でお抹茶をいただき、しばし日本の美しさを堪能してから、お昼は待ちに待った鰻です。鰻は浜松市にある浜名湖の名産品。昔から、私の家族は皆美味しい鰻には目がなく、浜松に行くと言えば美味しい鰻と思って楽しみにしていました。本当にここの鰻は身が引き締まっていて美味しく、地元のお店でいただく蒲焼は絶品です。東京のスーパーやお惣菜屋さんで買う鰻は、大きくても身がちょっとだらしなく、皮がゴムのような感じがして、私はなかなか好きになれません。というわけで、恋焦がれた鰻でしたが、やはり期待を裏切らずとても美味しかったです。夫も「これは今まで食べたのと違う!」と大喜び。ご飯も一粒残さずぺろりと平らげました。

実は、ここまですべてご馳走に預かった私達、夫も少しはお礼をしたいと思ったらしく、トイレに行くついでに前払いしようと頑張ったのですが・・・そこは気のつく伯父や伯母、すかさず勘付かれてしまい、あえなく失敗に終わりました。伯父が店員さんに「いや、あの二人はお客さんだから絶対受け取っちゃダメですよ。」と言い、店員さんがにこにこしながら、「それでしたら仕方ありませんねぇ。」と。不覚!

ガラス作品の数々。この美しい色合いを見ていると心が躍ります。

ガラス作品の数々。この美しい色合いを見ていると心が躍ります。

その後は水彩画のギャラリーを見たりお茶をしたりした後、浜松でガラス職人として働く従兄弟の工房に。従兄弟もいきなりの訪問でびっくりしたようですが、温かく迎えてくれ、ガラスの素敵な作品を見せてくれました。従兄弟は銀座の松屋で何回か個展を開いていたので、既に色々な作品を見ていた私ですが、毎年モチーフが変わり、作品の色や質感が変わり、本当にガラスの世界は無限だなと感じさせられました。

今回も素敵な壷やランプがあり、将来マイホームを持ったら是非購入したいと思うようなランプが沢山ありました。夫も作品を楽しんでくれたようで、従兄弟とも色々会話をしていたようです。(私はすっかり鑑賞に熱中。)

このほっこりした色がまた好きです。

このほっこりした色がまた好きです。

さて、ここでは薄紫の線の入った素敵な香水瓶をお祝いにいただきました。ぽってりとした愛らしい形、瓶とガラス棒がぴたっと合わさる精巧さ、どれをとってもお洒落だと感じる贈り物でした。どうもありがとうございます。

工房見学の後は、伯父の事務所に。改装後は見たことのなかった事務所ですが、木のぬくもりのある素敵な建物で居心地が良かったです。従兄弟のガラス作品も展示してあり、それがさらに温かみのあるオフィスにしていました。

あっという間にお別れの時間。画家の伯母からは素敵なバラの水彩画をお祝いにいただきました。皆に感謝でいっぱいで、同時に、昔からずっとお世話になってきた伯父や伯母も随分年を取ったんだなぁ・・・なんて感じて、なんだか胸がいっぱいになりました。お世話になって30年近く経てばもちろんそうなんですが、改めて、これからも会える時にはできるだけ時間を割いて会いたいな、何かできることがあればいつでもしてあげたいな、と実感しました。

その後香水瓶は我が家のサロンに、バラの水彩画は寝室のナイトテーブルの近くに定位置ができました。作品としての美しさもそうですが、私にとっては大切な人達と私達とをつなぐ絆のような気がして、見ているだけで幸せを感じます。

大切な人達と距離があることは残念なことですが、だからこそ相手に感謝し、一緒に過ごせる時間に感謝する。そういう形でこれからも皆との縁を大事にして行きたいです。

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