Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

クリスマスのイベント

クリスマスのテーブルセッティングの一部。今年は写真の鏡のお皿、ロウソクを入れる小さなランタンと、金属でできた飾り用ボールとツリー用の電球入りの飾りを買いました。木彫りのウサギは、15年前に母がアメリカで買ったものを再利用、松ぼっくりは娘と近くの公園で拾いました。

クリスマスのテーブルセッティングの一部。今年は写真の鏡のお皿、ロウソクを入れる小さなランタンと、金属でできた飾り用ボールとツリー用の電球入りの飾りを買いました。木彫りのウサギは、15年前に母がアメリカで買ったものを再利用、松ぼっくりは娘と近くの公園で拾いました。

スペインに来た当初は、本場のクリスマスの雰囲気に加え、義母のテーブルセッティングや飾り付けの美しさに感嘆し、何もかもが新鮮だったのをよく覚えています。今では、我が家に夫の両親、祖母、弟と弟の彼女が集うことになり、さらに子供も二人加わり、クリスマスの飾り付けも少しずつ変化してきました。基本はあくまでシンプルでありながら調和が取れたものとしつつも、気がつくと、子供が生まれたことでカラフルでポップなテイストも加わったように思います。

私が小さい頃は、母がミンスミート(木の実やレーズンをラム酒とお砂糖に漬けたもの)を準備し、それを使ってパウンドケーキを大量に作り、兄弟や友人に作っていたことを思い出します。残念ながら、私の家族はこういったパウンドケーキがそこまで好きではないのでこの伝統は終わってしまいましたが、子供にもクリスマスの準備の雰囲気を味わってもらえればと思い、今年は娘に飾り付けを少し手伝ってもらいました。

近くの公園で松ぼっくりを拾う娘。息子はこの時ベビーカーの中でお昼寝中。

近くの公園で松ぼっくりを拾う娘。息子はこの時ベビーカーの中でお昼寝中。

子供がいると、自然と暖色系のクリスマスコーディネートになります。

子供がいると、自然と暖色系のクリスマスコーディネートになります。

お皿も白い物と可愛い柄の物が中心です。

お皿も白い物と可愛い柄の物が中心です。

同時に、スペインに来て8年目にして、周りの物ばかりを吸収するのではなく、ある程度自信を持って自分の色も出せるようになってきました。別に自分の趣味やコーディネートに自信があるというわけではありませんが、異文化に触れて取捨選択を繰り返すうちに、「私はこういう物が好き」という視点が以前より明確になってきたのかも知れません。

2013年のクリスマスイブは我が家でディナーでしたが、夫の家族(義父、義母、義母の母、義弟)と我が家の子供達に加え、今回は夫の叔父夫婦、そして義弟の彼女(コロンビア人)と彼女のお兄さん、さらにその人の彼女がスペインに来たということで、彼らも招いてのパーティーとなりました。健斗は8時半に寝てしまったのでディなーの席にはカウントしないことにしても、13人のクリスマスディナーにはなかなか準備が必要でした。しかも、私は年末までずっと仕事があったので、買い出しも料理の準備も随分義両親が参加してくれました。(ホッ)

かおりも随分大きくなりました。サンタクロースの帽子より、この三つ編みが気に入ったようです。

かおりも随分大きくなりました。サンタクロースの帽子より、この三つ編みが気に入ったようです。2011年に同じ帽子を被っていた頃に比べ、本当に大きくなりました。

健斗もちょっとクリスマス色の服で登場。でも、私がバタバタしていたので、この写真しか撮りませんでした。

健斗もちょっとクリスマス色の服で登場。でも、私がバタバタしていたので、この写真しか撮りませんでした。

私の担当は、例年通りのブッシュドノエル。今年はチョコレートを入れて茶色に仕上げました。皆の協力もあり、忙しいながらも楽しいクリスマスとなりました。どれもなかなか美味しくて、いつものように思い出に残るディナーとなりました。

風船葛がなぜかクリスマスには出回る為、これを飾り付けに使います。

風船葛がなぜかクリスマスには出回る為、これを飾り付けに使います。

2009年のクリスマスのブッシュドノエル。やっぱり白の方が良いかしら・・・。

2009年のクリスマスのブッシュドノエル。やっぱり白の方が良いかしら・・・。

大晦日は義弟の家で。義弟は昨年ずっと家のリフォームと新しい仕事で忙しい毎日を送っていましたが、ようやく大晦日を彼の家で過ごすことができ、とても嬉しそうでした。反面、クリスマスや大晦日というのはスペインでは一大行事。家族とは言え、沢山の人数の人を招いて家でディナーというのは、慣れていてもなかなか手間取るものです。(義弟の彼女は色々不安があったようで、10日前くらいから何となーく疲れているのが感じられました。)また、義弟の家は我が家からかなり近い場所にありますが、夜に子供を連れて行き、そこで子供達をパジャマに着替えさせて寝かせたりするのもなかなかの手間。独身の義弟には分からない準備も色々あるだろうと思い、必要そうなものを全て持って行きましたが、やはり正解でした。その日届いたばかりのベッドにはシーツも何もありませんでしたし、10ヶ月の息子をベッドに寝かせておくこともできず、マットレスを下ろして床に置いたり、子供のパジャマと眠る時の寝袋のようなものを出したり、毛布やタオルを準備したり・・・と色々な作業が待っていました。義弟もまだそこまで手際が良いわけでもないので、時間ギリギリで準備しなければならないものが沢山あり、家族全員で協力してもなかなか大変でした。

そんなこんなで、ようやくディナーが始まったのは夜の10時、家族写真を撮ろうとした10時前には息子は眠くて泣き出す始末。息子がほとんど写真に写らなかったのが残念と言えば残念でしたが、こればかりは仕方ありません。

義弟の家で。二つのテーブルを合わせたので、沢山の人が座れて飾り甲斐がありました。

義弟の家で。二つのテーブルを合わせたので、沢山の人が座れて飾り甲斐がありました。

12時をまわり、皆でクラッカーを鳴らしたり紙吹雪を散らしたりしました。

12時をまわり、皆でクラッカーを鳴らしたり紙吹雪を散らしたりしました。

皆でダンスタイム。

皆でダンスタイム。


ディナーはとても美味しく、皆で本当に楽しいひと時を過ごしました。夜中にはかおりも交えてシャンペンで乾杯をし、皆でダンスもし・・・と、なかなかヨーロッパらしいお祭りでした。反面、私は新しい場所に二人の子供を寝かしつけることになった為、なかなか苦戦しました。健斗は先に寝かしつけることに成功したのですが、かおりも同じ部屋に寝かせるのは今回が初めて。かおりは既に暗闇を怖がるようになり、いつもネコの形の電気をつけないと寝付いてくれません。ところが、その電気をつけると健斗が起きてしまいます。私が部屋を出ると健斗が泣き、かおりが寝かしつけようとおしゃぶりを口にねじこみ、さらに健斗が大泣き・・・。また、かおりは同じベッドに健斗がいるのが気になるようで、落ち着かない様子。しかも、その部屋のヒーターを入れたのが夜だった為、本当に寒くて寒くて、子供達には悪いことをしたと思いました。最終的には、義母が電気を消して一緒に寝てくれました。

1月6日の東方の三賢士(スペイン語では”Reyes magos“)のお祝いの日は、5日が義母の母のお誕生日ということもあり、また我が家で皆を招いてのお祝いをしました。スペインでは、伝統的にはサンタクロースは存在せず、キリストが生まれた時に訪ねてきた東方の三賢士が、良い子供達にプレゼントを持ってくることになっています。(良い子ではないと石炭を持ってくることになっていますが、流石に石炭をもらった子の話は聞いたことがありません。)その為、子供達は1月6日の朝にプレゼントを見つけて大喜び、6日には新しいおもちゃを持った子供達が至る所で見られるというのがスペインの風景です。

公園には新しい自転車が一気に増えます。

公園には新しい自転車が一気に増えます。

我が家では、例年通り、Roscón de Reyesという王冠に似せた丸い形のパンをいただきました。このパンの特徴としては、王冠に沢山のドライフルーツやお砂糖の飾りが付けられていること、パンの生地にアグア・デ・アサール(“Agua de azahar”, 英語に訳すと”Orange flower water”)というオレンジの花びらの蒸留水から採ったエッセンスが入っていることが挙げられます。このオレンジ水は地中海のデザートにはよく使われたそうですが、独特の風味と香りがあり、この匂いがパン屋さんから漂ってくると、「クリスマスシーズンももう終わりだなぁ」という気分になります。このパンとホットチョコレートをいただき、皆と夜まで話をし、12月から続いたクリスマス行事も終わりです。

ひいおばあちゃんと一緒の娘。

ひいおばあちゃんと一緒の娘。

日本では、クリスマスというのは12月25日までで、それが終わると早々と飾りを閉まって大掃除をし、お正月飾りを出す家がほとんどだと思いますが、スペインではこのReyes magosが来て子供達にプレゼントを配るまでは、クリスマスは終わりません。その為、1月初めまではクリスマス飾りが至る所に出ています。(そういえば、米国滞在中は、イースター直前までクリスマス飾りが出ていてビックリしたことを思い出します。)

私はこの辺りがまだ日本人なようで、クリスマス飾りは大好きなものの、12月25日になるとサンタクロースやクリスマスカラーの飾りは全て片付けたい衝動に駆られます。数年前からは、家の中を一度スッキリとさせ、玄関の小さな部分に日本の新年の飾りを置くようになりました。とは言え、1月中旬まではキリスト降誕セット(ヨセフ/マリア/キリスト像と動物達)は出しておき、クリスマスの余韻を味わうようにしています。この辺りの和洋折衷のバランスが時々難しいですが、日本の新年の置物を出すと気分が引き締まる気がします。

1月になると、我が家の飾り付けは至ってシンプルです。

1月になると、我が家の飾り付けは至ってシンプルです。

以前の日記にも書きましたが、スペインに大掃除という概念はありません。整理整頓をし、物を増やし過ぎないようにしている人がほとんどの為、いつも家の中がキレイに片付いている所がほとんどです。(もちろん例外もいますが、「開かずの間」がある家にお目にかかったことはありません。)もちろん大掃除で徹底的に汚れを落とすのは良いことだと思いますが、常に整理整頓をしておくというのは、日本でも見習うべきかなと思います。スッキリとした家にいると年末でなくても気持ち良いですし、自分の持ち物を把握していると無駄な買い物も減ります。また、日本では年末の買い出しやおせちの準備で忙しい人達がかなりいますから、大掃除を減らせば随分ラクになるのではと思います。いかがでしょうか?

クリスマスのイベントも終わり、それぞれが普段の生活に戻りつつあります。イベントも楽しいですが、1ヶ月近くイベント続きの後には、普段の生活に戻るのも良いものですね。これからは、子供達がどんどんこう言った行事を楽しみにしてくれるので、こちらもできるだけのことをしてあげたいと思いますが、一日一日の生活を丁寧に生きることも大事だと改めて思いました。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。2014年が皆さんにとって希望に満ちた一年となりますように。

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4 Comments

  1. こんにちは。大掃除に関しては、新しい年に神様をお迎えするので家を清めるという意味があると思います。
    それから・・・効率を求めると、伝統は途絶えてしまうのではないでしょうか。コンクラーベも、伊勢神宮の
    式年遷宮も、続けることに意義がありますよね。

    • Annaさん、

      コメントをありがとうございます。
      そうですね。日本の大掃除は確かに新しい年に神様をお迎えする為のお清めの意味がありますよね。
      そういう意味では、とても良い習慣だと思います。
      ただ、私が言いたかったのは、普段はかなり散らかっている状況で年末だけ大掃除をして疲労するよりは、年中ある程度きれいな状態を保っている方が心地よいのでは、ということです。
      「効率を求めると、伝統は途絶えてしまう」という論理が当てはまるケースもありますが、昔からの智恵にはそれなりの効率性があり、だから今に伝わっているというケースもありますので、これは一概には言えないと思いますよ。

      • 的外れなコメントをしてしまい、大変失礼しました。「昔からの智恵にはそれなりの効率性があり、だから今に伝わっている」、その通りですね。ふと思ったのですが、大掃除には「一年間使った物や場所に対して、感謝の気持ちを込めて綺麗にする」という意味もありそうですね。

        日本では近年、片付けや収納に関する本がベストセラーになっていましたし、多くの人が日頃からの整理整頓を心掛けて (少なくとも、心掛けようとして) いるのではと思います。断捨離をする人を「ダンシャリアン」と呼ぶそうです。散らかってしまうのは・・・日本の住宅事情、特に収納場所の少なさも関係しているのかもしれませんね。片付けられない症候群の人 (hoarder) は世界中にいるそうですが、現代の生活では誰でも少なからず嵩張る物 (特にプラスチック製品) が家に増えてしまいがちなのではと思います。だからこそ、意識して増やさない努力が必要なのですね。

        • Annaさん、

          そうですね、大掃除には使ったものに対しての感謝の意味もあると思います。
          この辺りの考えは非常に日本的なようで、こっちの人には「感謝」と言うとビックリされるということを色々な人から聞きました。
          もちろん、物を大切に使う人は手入れや掃除もするので結果的には同じなのですが、「感謝」という考え方が日本の外では当たり前ではないというのは、なかなか興味深いですよね。

          断捨離については本やソーシャルコミュニティで見かけましたが、あれはあれで極めようとすると「スッキリ」を通り越して「殺風景」になるのでは・・・と、個人的にはちょっと思いました。
          日本にいると便利な物が多い反面、気がつくとスペースが「便利グッズ」で占められてしまうという感じはありました。(日本では、そういった製品のできが非常に良いというのもあると思いますが。)

          大事なのは、自分が本当に心地よいと感じる環境を作り上げようとすることで、その為には行動力と日々感性を磨くことが大切なのでは、と最近思います。