Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

ハモン

クリスマスプレゼントのハモン。要は、豚の脚一本です。

クリスマスプレゼントのハモン。要は、豚の脚一本です。

以前は、スペインと言うと、「フラメンコ、闘牛、パエリヤ」と日本では言われていたようですが、最近ではここに「ハモン」「イベリコ豚」「イベリコ豚のハム(ハモン・イベリコ=jamón ibérico)」が含まれるようになったようです。そういえば、日本に一時帰国した時にも友人と一緒に食べました。(あまりの値段の高さにびっくりしましたが。そして、ハムが分厚くて残念でした・・・。)スペインでもそれなりに高いですが、日本の法外な高さを目にして、「そこまで払う人がいるのだろうか・・・」と思った覚えがあります。

このスペインのハム(ここでは普通のハムと区別して、「ハモン」と呼びます。)ですが、お肉屋さんや普通のバルに行くと豚の脚がたくさんぶら下がっているので、すぐに見つけられると思います。(これについては、2006年のブログをどうぞ。)お肉屋さんでもグラム単位で買うことができ、その場で薄く切って真空パックに入れてくれるので、乾燥することなく美味しく食べることができます。

蹄もこの通り、ついたままです。

蹄もこの通り、ついたままです。

義母の家では豚も飼っていて、義母が小さい頃には自家製ハムを作っていたとか。倉庫のようなスペースに豚の脚を干しておくと、乾燥した気候と低い気温によって少しずつ熟成が進むそうで、それはそれは美味しいハモンだったと言っていました。夫が小さい頃に義母の実家に預けられた時は、歯固めに夫の祖父がハモンを一切れあげたとか。確かに、固くて噛めば噛む程味が出て、歯固めには良いかも知れません。

スペインでも、赤ちゃんにハモンを与えるのは一般的ではありませんが、夫はよっぽどこれが良かったようで、自分の子供にもハモンの塊をあげるとよく言っていました。

このスペイン人とは切っても切り離せないハモンは、クリスマスの贈り物にもよく使われます。ある会社では、従業員へのクリスマスの贈り物の食料一式(cesta de navidad)からニョキッと豚の脚が出ていました。こちらではご馳走ですが、スペインの文化に慣れていないとちょっと異様かも知れません・・・。

去年のクリスマスには、夫にこのハモンが当たりました。ハモンを支える為のスタンドが別の箱に入っていて、それを組み立て、ハムを固定してから、我が家のハモン生活が始まりました。ハモンは通常切り始めてから1ヶ月程度で食べ切らないと風味が落ちる為、クリスマス等で家族が揃った時が食べ時です。

ハモンは厚い脂肪で覆われている為、まずは普通の包丁で脂を切り落とします。その後、力を入れないようにしながら、薄くて長いハモン用の包丁「ハモネロ(jamonero)」を使って薄ーくハモンを削ぎ切りにします。この時、包丁を行ったり来たりさせずにスーッと切るのがコツです。(フグ刺のイメージでしょうか。)乾燥しやすいので、早目に食べることをお薦めします。

大きな包丁で、まずは外側の脂肪を取り除きます。

大きな包丁で、まずは外側の脂肪を取り除きます。

ハモンの中にも様々な種類があります。ハモン・イベリコとは、こう言ったハモンでは美味しいことで有名なイベリコ豚のハモンのことですが、このハモン・イベリコの中にもさらに色々な等級があります。イベリコ豚の血統(50%以上がイベリコ種の血統ではない豚は、イベリコ豚とは認定されません。)の他、飼育の方法でハムの質が決まると言われています。そして、その中でも秋〜冬の皮下脂肪を蓄える時期にドングリのみを食べて育った豚が、「ドングリのイベリコ豚(Jamón ibérico de bellota)と言われて最高級とされています。この最高級のハモンは、霜降り牛のように脂肪が全体に散らばっていて、ハムをちょっと指で押すだけで脂肪から脂がすっと染み出るように見えます。そして、口の中ですっと脂が溶け、思った以上に軽い口当たりです。

ハモネロという細くて長いナイフで薄ーく切っていきます。

ハモネロという細くて長いナイフで薄ーく切っていきます。

クリスマスに皆でハモンを食べた時は、さすがに脚一本なので、骨が出て来る度に、「さて、ここからどうやって切ろうか。」と夫は悩んでいましたが、とても美味しいハモンで、夕飯前のおつまみに皆でちょくちょくいただいていました。

さて、夫は娘にも歯固め用にとハモンを一切れ与えていましたが、夫の期待に反して、娘はあまり好きではなかったようです・・・。

ハモンは台所のアクセントにもなります。でも、どのスペインの家にもハモンがあるわけではありませんよ。

ハモンは台所のアクセントにもなります。でも、どのスペインの家にもハモンがあるわけではありませんよ。

肉を全て取ったハモンは、最後には煮込み料理に使うことができます。近くの市場のお肉屋さんで無料で骨を切ってくれるようなので、今度市場に脚一本(既にハモンではないです)を持って行って切ってもらう予定です。こうして見ると、スペイン料理も無駄がないな、とつくづく感じます。

皆さんも、是非機会があれば色々なハモンを試してみて下さいね。最初はちょっと苦手と思う人もいるかも知れませんが、慣れると病みつきになりますよ。

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