Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

スペインの妊婦事情

病院の近くのトレド門 (Puerta de Toledo)

病院の近くのトレド門 (Puerta de Toledo)

そろそろ安定期に入ったのでご報告です。

実は、現在妊娠3ヶ月ちょっと。スペイン生活も既に5年目ですが、妊婦になってみるとまた色々な発見があり、自分の体の変化も含めて毎日が新鮮です。とは言え、やはり悪阻があったりすると「新鮮」とばかり喜んではいられないのが現状ですが(笑)

こんな経験もなかなかあるものではないので、日本とスペインの病院事情、妊娠・出産に対する考え方の違い等々、私の目から見た妊娠・出産・育児をこれから少しずつご紹介できればと思います。

  • 妊娠期間について

まず、欧米では妊娠期間は「9ヶ月」なのに、日本では10ヶ月。もちろん、欧米の子供は短い期間で生まれてくるなんてことはありません。数え方の違いから来ています。友達が、「9ヶ月経って生まれて・・・」と話しているのを聞いて、「それじゃぁ未熟児だったんだね。」と言ったら、「何??」という顔をされたのを思い出します。

この数え方ですが、日本では最終月経を1日目とし、28日を1ヶ月と考えるので、280日で10ヶ月と計算します。欧米では、最終月経日を参考にはしますが、胎児のサイズから受精時期を割り出し(小さい時期は個体によるサイズの差はほとんどないそうです)、そこから40週(カレンダー上では約9ヶ月)と計算するそうです。それでも、欧米の方がちょっと期間的には短くなるのかしら?

マドリッドは夜でも30度を超えています。バスの中の温度計に注目。

マドリッドは夜でも30度を超えています。バスの中の温度計に注目。

  • 病院について

スペインには私立病院と公立病院があります。

<公立病院>

友人宅のプール。マドリッドではこういったアパートの公共プールがよく見られます。

友人宅のプール。マドリッドではこういったアパートの公共プールがよく見られます。

日本と違うのは、社会保障を払っている人は無料で公立病院に行ける上、各自に専属のお医者さんがつくことです。このお医者さんは、自分の住民登録に記載された地区のHealth Center (Centro de Salud)で働いており、自分の希望する時間帯のお医者さんを選べるシステムになっています。(気に入らない場合には、別のお医者さんに変えてもらうことも可能です。)

ただ、急患という形を取れば社会保障費を支払っていない人(多くは移民)でも行ける為、マドリッドの病院は色々な国の人で溢れています。スペイン人はこれを快く思わないことも多く、そういう人たちは私立病院に行ったりもしています。

私は、妊娠が分かってから、スペインのシステムに沿ってこのホームドクターに推薦状を書いてもらい、検診を受けてきました。(常にホームドクターの推薦状が必要です。)

検診は別のセンターで流れ作業のように行われており、お医者さんは有能ですが、かなり「効率的」というイメージです。ただ、お医者さんが早く終わらせようとしているのが分かり、信頼できるかどうかという点では、ちょっと難ありのことも・・・。無料でできる上、色々な人が大量に検査の為に行く場所なので、そうなるのも分からなくはないですが。また、同じお医者さんが担当になるということはほとんどありません。この前は、担当のお医者さんから1週間前に連絡があり、「休暇に入るから別のお医者さんに担当してもらいます。」と言われました。いつも違うお医者さんなので、別に驚きませんでしたが(笑)
でも、そういうやり方だから、お医者さんもしっかり休暇が取れるのかも知れませんね。

また、希望すれば助産婦(こちらでは法的な資格のあるしっかりとした職業です)の人との妊婦コースのようなものもあるらしく、ヨーロッパでも一番高いレベルと言われています。特に出産/育児に対する具体的な不安はないですが、休み明けにでも予約を取ろうかな、と考えています。

ちなみに、スペインのケースだと、出産は公立病院の方が私立病院よりしっかりしていると言われます。必要な医療用具は最新のもので、出産には助産婦、麻酔係その他必要なスタッフがグループとして付き添うスタイルだとか。設備やスタッフが充実しているので、私立病院での難しい出産の場合に妊婦が搬送されてくる場合もあるそうです。

<私立病院>

夏のプールはどこも大人気。各団地に一つあるとすると、この地区だけでもかなりの数になりますが・・・。

夏のプールはどこも大人気。各団地に一つあるとすると、この地区だけでもかなりの数になりますが・・・。

私的保健に加入していると、毎月保険料を支払う代わりに、その保険会社の病院リストにある病院での治療がほとんど全て無料になります。(歯医者の場合は、特約が付いていて、一部支払うこともあります。)病院全体の雰囲気はもっと洒落ていることが多く、看護婦さんや受付の人たちの対応も丁寧です。ただ、私立だからといって必ずしも公立より医療設備が良いという訳ではないですし、医療の質が上ということもありません。実際、市立病院のお医者さんが、週に何日かは公立の病院で勤務というケースが多いです。

私の職場では、従業員が私的保健にも加入できるようになっている為、今は検診の為に、いつもお世話になる産婦人科のドクターにも会っています。いつも同じ先生と話ができるというのは安心ですし、公立病院と違ってゆっくり時間を取ってもらえるので、質問もたくさんできて本当に心強いです。

難点は、このお医者さん、週に二日しかクリニックにいない上、よく学会や休暇で病院を留守にする為、「第○○週検診」といった時にいないことが多いのです・・・。そういう時には、やはり公立病院がありがたいですね。

出産は公立病院の方が安心と言われていますが、滞在する部屋を個室にしてもらえたり、落ち着いた環境で産後を過ごせたり・・・と、至れり尽くせりなのが私立病院の特徴。同じお医者さんに診てもらえる安心感もあります。

窓からちらほらスペイン国旗が。ワールドカップの名残でしょうか。

窓からちらほらスペイン国旗が。ワールドカップの名残でしょうか。

<救急病院>

上の二つの病院は、常に予約を取ってから行く必要があります。日本の制度から考えるとびっくりすることですが、急に体調が悪くなったりしても、残念ながら上の二つの病院では受け付けてくれないのです。実際、私も妊娠初期に流産の恐れがあり、いつもの私立のお医者さんに電話した所、「今日はもう予約で一杯だから、残念だけど救急病院に行ってください。」といわれました。「かなり心配なので、待ってもいいから診てほしいんですが。」との必死の訴えも届かず、やむなく救急病院に行きました。

そして、この「救急病院」の概念も日本とは違います。「救急(スペイン語ではurgencyと同じ “urgencia”という単語を使います)」とは、スペインでは「予約なしで行ける病院」というだけのことなので、かなり待たされます!私も、今回3時間待たされました。検査その他の時間も入れると4-5時間。もちろん、一刻を争う状況だったら違いますが、「救急病院」とは名ばかりです。ちなみに、私の私的保健にある私立病院リストには、産婦人科が200位載っていますが、その中で「救急病院」又は「予約なしで行ける病院」は5つだけ。随分少ないのです。

というわけで、私は両方の良いとこ取りをしようと思います。

暑さのせいか、最近よくいただく中東のお菓子。蜂蜜やナッツが入っていて美味しいです。

暑さのせいか、最近よくいただく中東のお菓子。蜂蜜やナッツが入っていて美味しいです。

① 私立の病院をメインにして、お医者さんとしっかり話す。
② 検診は公立の病院も利用。恐らく出産も。
③ 緊急の時は救急病院を利用。

同じ病院ばかりではないですし、かかり付けのお医者さんに診てもらえないのは不安という考えもありますが、ダウン症の有無のチェック、アレルギーのチェック、エコー検査から出産までを、最新の機器を用いて全て無料でしてもらえるのは大きなメリットですし、病院に行く度にきちんと検診の結果をレポートとしてもらえるので、どこの病院に行くのにも不安がありません。「病院のハシゴ」に慣れるのに時間がかかりましたが、なかなか良いシステムだと思いますよ。

日本の妊娠・出産は至れり尽くせりですが、かなり高額と聞きました。出産までにどれ位かかるのでしょうか?日本の良さも色々知っておきたいものです。

Tagged as: , ,

9 Comments

  1. おめでとうございます。
    わたしは 三人目をアルカラ・デ・エナレスのプリンシペ・デ・アストゥリアスという病院で生みました。
    噂によると助産婦さんが ヨーロッパ一だって。(みんな地元のことは 自慢してますものね。 笑)
    2人は 日本で生んだんですが 一人目は最悪 (想像によると ゴルフに行きたいがために 木曜日に
    帝王切開。 母子手帳には 高年齢のため 帝王切開と書かれた。)だったので 2番目はしっかり調べて
    代官山の育良クリニック。 わたしが行った時は 開院したばかりだったので すぐに入れましたが
    その後 噂によると たくさん 来すぎて 妊娠三ヶ月以上は 受け付けられない状態だとか。
    でも 良い出産ができました。 マッサージもしてくれるし。
    でもね 取り出してくれる時 やはり スペインの助産婦さんて 体力というか 握力というか
    そういうのが違うから 頭をつかんでくるりんって あっというまに出してくれるので
    痛いって おもう時間がほとんどありませんでした。
    で 日本は 入院って一週間ですよね。
    でもね 出す時 苦しまないと 2日目 もうけっこう元気になってるの。
    日本では えいんを切ったりして ちょっと 切っただけでも それは やっぱり 手術だから
    そのあとが痛くて 回復に時間がかかるような気がします。(ちなみに 育良クリニックは 数少ない 切らない病院で 入院日数も少なかったです。)

    日本・スペインで 出産したわたしが スペインの出産事情を保証しますので
    安心して 産んでくださいね。
    そうだ 八ヶ月の時 (年なので)妊娠中毒になったとき すぐに往診してくれました。
    往診って 今の 少なくとも東京では なかなか してくれないのではないか と。
    だから ほんとに安心です。

    ほんとにおめでとうございます。
    長々とごめんなさい。 これからの記事楽しみにしてます。

    • >Cazorlaさん

      ありがとうございます。
      日本とスペインで出産を経験された方の経験を伺えると、本当に参考になります。

      育良クリニック、私の従兄弟の奥さんもお世話になった病院です。
      代官山に住んでいたので、お家からも近く、とてもきめ細かなサービスだったと聞きました。
      本当に偶然ですねぇ。

      時々知り合いに、「出産は日本の方が安心じゃない?」と聞かれるのですが、日本の産婦人科をよく知っている訳でもありませんし、夫がスペインにいて、さらに心強いコメントをいただくと、スペインで全く問題なしという気分になりますね。

      また、妊娠してから女友達(出産経験者)や義両親が折に触れて電話をくれます。
      こういう皆の優しさが本当にありがたくて、そういう人達の近くで出産ということに不安は感じないですね。

      これからは、Cazorlaさんのブログ同様、子供のニュースを書くことになりそうです。
      ようやく仲間入り、楽しみです♪

  2. おめでとう!!
    私はもちろん経験ないので出産については疎いですが、
    通っていた厚生中央病院では医者不足で分娩できません、って
    貼紙があったような・・・・。
    やっぱり人気のあるところに集中しているみたいで。

    ともかく体に気を付けて元気なお子さんを産んでください。

    今井@シンガポール

    • ありがとう!
      シンガポールはどうですか?
      私の中では、小さいけれど整備されていて食事のおいしい国というイメージです☆
      いまいくんのHPもこれから楽しみにしているよ♪

  3. Harukiさん

    おめでとうございます。
    暑くて大変でしょうが、身体を大切にしてくださいね。他国での妊娠で心細いところもあると思いますが、きっと可愛い赤ちゃんが生まれるでしょうね。楽しみにしています。

    • Chihoさん

      ありがとうございます。
      まだあまり実感が湧かないのが現状ですが、少しずつマタニティや子供服に目が行くようになってきました。
      (こちらの子供服って可愛いですね。)
      よく、「人種が混ざると強い子が生まれる」と聞くので、まずは元気な子供が生まれてくれれば・・・と願っています(^^)

  4. おめでとうございます!
    スペインも相当暑いと想像いたしますが、ご自愛くださいますようお願い申し上げます。
    フレッシュなオレンジジュースはかなり身体によさそうですね☆

    • >masashiくん

      メッセージありがとうございます。
      そして、お返事が遅れてごめんなさい(>_<)

      実は、15日まで日本に一時帰国をしていたのですが、日本の暑さは異常でした。
      あの暑さの中で通勤をしている人達は本当にエラいです!