Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

マドリッド郊外での結婚式

心温まる素敵な結婚式でした

心温まる素敵な結婚式でした

ちょっと前になりますが、友人の結婚式のためにマドリッド郊外まで行ってきました。この友人は、夫が昔の職場からコンサルタントとして派遣された先で知り合った人なのですが、その部署の人達とは非常に気が合ったらしく、今でも休日に皆でバーベキューをしたり、バルに飲みに行ったりしています。こちらではカップル単位で行動することが多い為、そういった友人達の彼女とも知り合いになり、女性陣でもわいわい盛り上がっています。

今回の新郎新婦はダヴィッド(David)とディアナ(Diana)。大学時代から付き合っていた二人は既に知り合って10年以上。一緒に住んで5年以上ですから、二人の中で特に何かが大きく変わるわけではないそうです。でも、こういう形で友人や家族とお祝いできるのをとても楽しみにしていました。

修道院の外観。立派な石造りです。

修道院の外観。立派な石造りです。

結婚式は、マドリッドの中心から車で1時間半程行った場所にあるラスカフリア(Rascafría)という村の修道院、サンタ・マリア・デ・エル・パウラール(Santa María de El Paular)という場所で行われました。この村はマドリッドの北に位置するグアダラマ山脈の斜面にある為、夏でも比較的涼しく、避暑地としても利用されています。実際、我が家を出た時の気温は41度でしたが、到着した時は既に30度弱、さらに夜は19度まで下がりました。(恐るべし、マドリッドの猛暑・・・。)

教会の入口。この門の彫刻の精巧なこと!一人で見入ってしまいました。

教会の入口。この門の彫刻の精巧なこと!一人で見入ってしまいました。

村はこじんまりとして趣がありましたが、何と言っても修道院を中心にできあがった村という印象を受けました。それもそのはず、この修道院は1390年に当時のカスティーリャ王国の王であるエンリケ2世の命によって建設され、修道院、教会の他に、王家が滞在する為の屋敷まで作ったからです。王の命令で何世紀もの歳月をかけてこれだけ立派なものを作れば、そこを中心に村が栄えるというのも納得ですね。

ちなみに、この修道院は設立当初から450年程は、カトリックの一派であるカルトゥジオ会(スペイン語ではcartujo、英語ではCarthusian)の修道院でしたが、1950年代からは別の一派のベネディクト会のものとなっています。教会の入口はトレドにあるサン・フアン・デ・ロス・レイェス修道院(Monasterio de San Juan de los Reyes)に似ていると思ったのですが、何とトレドの建築の一部を担った建築士が、この教会の設計にも携わったことを知りました。なるほど!こういう発見があると嬉しくなります。

この教会内部の祭壇は圧巻でした。Retabloと呼ばれる、祭壇の後方に位置する壁の彫刻は15世紀のもので、聖書の中の17の場面が表現されています。また、祭壇の両側にある木製の椅子には聖人が彫られており、透かし彫りの部分の美しさにも感心してしまいました。

教会内部の様子。式の間に観光客が入ってきたのも納得です。

教会内部の様子。式の間に観光客が入ってきたのも納得です。


これらの椅子は、一時期この教会から移動されたそうですが、教会の復旧後にまた戻されました。

これらの椅子は、一時期この教会から移動されたそうですが、教会の復旧後にまた戻されました。

さて、結婚式の話に戻ります。

式は5時半よりスタート。ミサの形で開始され、皆が席に着くと司祭の入場。その後に歌が始まり、新郎と新郎の母親が入場。新郎が祭壇の前に立った所で、新婦が新婦の父親と一緒に入場。二人とも本当に嬉しそうで、見ているこちらも幸せな気分になりました。

新婦が笑顔で入場してきたのが印象的でした。とても可愛らしかったです。

新婦が笑顔で入場してきたのが印象的でした。とても可愛らしかったです。

今回のミサでは聖歌を歌う女性1名、チェロ奏者1名、バイオリン奏者2名が参加していた為、歌が多く華やかな感じの式でした。また、司祭の言葉も良かったです。そうそう、日本の教会式の結婚式では必ず「近いのキスを」となりますが、これはヨーロッパではしないことも多いのです。披露宴では皆がキスコールをするので、新郎新婦のキスがありますが、式では正式にはしないようです。この辺りの違いも面白いですね。

実はとても長いベールなのです。

実はとても長いベールなのです。


指輪の交換。

指輪の交換。

ミサが終了した後は、皆で外で待機。教会から出て来る新郎新婦にライスシャワーとバラの花びらを思いっきり浴びせ、記念撮影を楽しんだ後は、その隣にあるシェラトン・ホテルの中庭でカクテル・パーティー。シェラトンというと、現代的で豪華なリゾートホテルというイメージがありましたが、実は、ここのシェラトンはあの王家の屋敷を買い取ってホテルにしたものなのです。歴史的な建物を残した形での落ち着いた雰囲気で、パラドールのようでした。

教会の外で親族と写真を撮る新郎新婦。

教会の外で親族と写真を撮る新郎新婦。


カクテルパーティーの様子。皆ゆったりと1−2時間くつろぎます。

カクテルパーティーの様子。皆ゆったりと1−2時間くつろぎます。

夕食は8時半頃からスタート。ここの食事はとても美味しく、スペインらしい料理をとても丁寧に作っているという感じでした。メロンの冷製スープか、ニンニク・トマト・ハムの冷静スープ(サルモレホ)を選ぶことができたり、口直しのソルベもレモンとオレンジの二つから選ぶようになっていたり、カップルで来ている人達には嬉しい趣向でした。

宮殿の中庭でディナー。オープンになっていて、とても気持ちの良い場所でした。

宮殿の中庭でディナー。オープンになっていて、とても気持ちの良い場所でした。


メロンの冷静スープ。ちょっと甘くて不思議な味でした。

メロンの冷静スープ。ちょっと甘くて不思議な味でした。


Pastel de Cabrachoと呼ばれるパテとラズベリーソース。

Pastel de Cabrachoと呼ばれるパテとラズベリーソース。


お肉も付け合わせのBoletusというキノコも最高でした!

お肉も付け合わせのBoletusというキノコも最高でした!

新郎新婦は皆の中央で食事。こんな趣向もおもしろいですね。

新郎新婦は皆の中央で食事。こんな趣向もおもしろいですね。

スペインと日本の大きな違いは、こういう場所に司会者がいないことでしょう。皆思い思いのペースで食事を進め、それぞれのテーブルで楽しくおしゃべりをします。新郎新婦の周りに皆で集まって写真を撮るということもありません。新郎新婦は中央のテーブルで家族と一緒に和やかに食事です。途中でケーキカットがありましたが、それもケーキを新郎新婦の席に持って行って切るという簡単なもので、大体の人は席に着いたまま見ている感じです。最後に参加者に小さな贈り物を渡す際に、皆のテーブルを回っていましたが、日本のように「出席者を飽きさせないように」というのとはかなり違っています。個人的には、新郎新婦もおなかいっぱい食べられるスペイン式が、私は好きです(笑)

夜中を過ぎてからは別の部屋でダンスタイム。花嫁と父のワルツがあり、それが終わると新郎新婦のダンス。ちょっとモダンなダンスで、それがまたなかなか良かったです。そして、参加者の女性全員に、ドレスの色に合わせた扇子と、サンダルがプレゼントされました。細やかな心遣いに感心しました。こちらでは引出物の習慣はありませんが、こういった小さなプレゼントを渡す人が多いですね。

私たちは夜の2時くらいにおいとましましたが、皆は5時くらいまでいたようです。「日本の結婚式は3−4時間で終わる」と言うと、「一生に一度のイベントがそんなに短いの?」とびっくりされますが、これはやっぱり体力の差でしょうか(笑)友人達との楽しいひと時でした。

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