Haruki's way

〜スペイン・この不可思議な国〜

チンチョン (Chinchón)

チンチョンの広場

チンチョンの広場

先週末に、ドイツから来た友人と一緒にチンチョン(Chinchón) という街に行って来ました。チンチョンはマドリッド県にありますが、マドリッド市中心からは50キロほど。車や電車でぶらっと郊外に出るのに適した街の一つです。乾燥した大地が印象的なチンチョンですが、川も流れており、一部では野菜や園芸も行われています。この街の魅力は何と言っても、首都にこれだけ近いにも関わらず、昔からの文化が息づいている様子を未だに間近に見られることでしょう。レンガ造りの家々、昔からある溜池や貯水池、美味しい料理やお酒、ちょっとぶっきらぼうでいて温かい住民たち。数十年前(数百年前?!)にタイムスリップしたような昔懐かしい生活を身近に感じることができます。

丘の上の大聖堂から見下ろしたマヨール広場。

丘の上の大聖堂から見下ろしたマヨール広場。

チンチョンの文明の形跡は何と新石器時代まで遡れます。ケルト人が住んだという跡もあり、全ての文明がそうであるように、この街でも川の重要性を認識させられます。通りはローマ時代に作られたものもあり、灌漑された農地はその後のムスリムの手によるもの。色々な文化が交錯している様子を見ることができます。面白いことに、この灌漑用の溝ですが、その後1085年にカスティーヤ王国のアルフォンソ6世がトレドを征服した際、この溝が砦の一部となったそうです。

カトリック教徒の領土となった後のチンチョンは、周辺都市であるトレドやセゴビアの聖職者達の領地となります。また、1498年には蚊の大発生を契機に街を丘の上の方に移動させ、同時に街の整備にも着手したとか。それにより、チンチョンは現在のようなマヨール広場を中心とした作りになったそうです。その後も破壊と建設を繰り返し、20世紀には文化都市としてスペイン内外で評価されるようになりました。ここに滞在したゴヤが感謝をこめて描いた絵も保管されています。

このマヨール広場、人々のお祭り、市場、宗教行事、話し合いに使われる他、7月25日の聖ヤコブの日から始まる闘牛のための闘牛場に変身します。この闘牛場は本当に立派で、人々がこの街に誇りを持っていることを感じずにはいられません。このシンボル的な存在のマヨール広場に人が集まり、ビールを飲み、語り合い、子供たちが遊び・・・広場のお陰で人と人との間のコミュニケーションがさらに進むということを実感しました。どの村に行ってもあるマヨール広場(原語の「Plaza Mayor」は「大広場」を表します)には、やはりスペイン人の生活の基盤があるようです。

レストランの上品な内装。青のタイルが涼しげです。

レストランの上品な内装。青のタイルが涼しげです。

マヨール広場の他にも、チンチョンには聖母被昇天教会(Iglesia de Nuestra
Señora de Asunción) や時計台等素敵な建物がたくさんあります。私達が行った日はとても暑くて気温が40度を超えた為、残念ながらこれらの石の建物だらけの道は暑くて干からびそうでしたが。それでも、建物の中は意外と涼しく、壁面にタイルを張った内装は涼やかでお洒落でした。ここでいただいた羊のオーブン焼きとサラダはとても美味しく、素朴で自然の滋味あふれる料理を堪能しました。食後はもちろんこの街の名物のアニス酒。かなり強いお酒ですが、これがさっぱりとして美味しかったです。名物と言えば、チンチョンで有名なのはこのアニス酒とニンニク。ニンニクを縄のようなものにからめてつるして売るお店が沢山あり、なかなか風情がありました。ニンニクはスペイン語ではアホ (ajo)。言われたらびっくりしちゃいますね(笑)

このアニス酒の名前はもちろん「チンチョン」!

このアニス酒の名前はもちろん「チンチョン」!

本当に暑い日でしたが、広場や建物の間にある噴水と貯水池のお陰で適度に水浴びも楽しめ、通りのパン屋さんで小さなお菓子を買ってぶらぶら歩き、名物のアニス酒とニンニクを買い・・・と、のんびり楽しく過ごしました。マドリッドから1時間弱の場所でこういうゆるやかな時間を過ごせるというのは、ある意味贅沢なことだと感じた一日でした。

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